オンライン診療(上)
ネットを使い、家に居ながら医師の顔を見て診療が受けられるオンライン診療は便利なもの。ただ、その後に具合が悪くなった場合は対面診療が受けられることが推奨されています。
使われ方は多様に
産婦人科では様々なオンライン診療が可能です。保険診療では禁煙補助内服薬や月経困難症治療用ピルの処方、更年期のホルモン補充療法や漢方治療など。自費診療では避妊用・緊急避妊ピルの処方や禁煙治療などです。
オンライン診療が普及したことによりピルユーザーが爆発的に増えたという報告があります。

割高になるケースも
ただ、前述の月経困難症治療用ピルなどは対面診療なら保険適用で処方してもらえるはずが、オンライン診療を受けて「まとめて買うと割安になります」などと言われ、むしろ割高な価格で買っている方もいらっしゃるようです。
禁忌の方はご注意を
また、例えば低用量ピルなどは内服に注意が必要な方がいらっしゃいますが、オンライン診療では最初の簡単な問診だけで、実際は慎重な投与が必要な一部の喫煙者や片頭痛持ちの方、途中で重症高血圧、肥満や脂質異常、コロナ感染症などが生じた方などに処方されるケースも。
血栓症(けっせんしょう)が起こらなくて本当に良かったということも少なからずあり、慌てて他の安全なお薬に変更するといったことも見受けられます。
必要な検査はぜひ
「便利だから」「気軽だから」といって安易にオンライン診療だけに頼らず、時間を作って専門家の診察を一度は受けましょう。血液超音波、必要な方は乳がん検診や子宮頸(けい)がん検査を受けて安心しましょう。
ホルモン治療は進化しています。対面診療ならもっと最適な治療用ピルなどを選んでもらえるかもしれませんよ。

真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
