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遅漏

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 遅漏(ちろう)とは、陰茎(いんけい)を女性性器(せいき)に挿入してから射精までに要する時間が本人の意思より遅くなる状態です。一般に射精までの時間は4~10分が多く、30~45分は遅漏とみなされることがありますが、具体的な時間の定義はありません。射精の遅さに本人あるいはパートナーがストレスを感じているかどうかで決まります。

有病率は5.16%

 日本性機能学会臨床研究促進委員会は10月、性交経験のある20~79歳の日本人男性5331人を対象に遅漏に関するインターネット調査の結果を報告しました。この調査では、射精までの時間の長さに苦痛を感じている場合を遅漏と定義しています。

 報告によれば、遅漏の有病率は5.16%で、先天的が1.73%、後天性が3.43%でした。58.18%が治療を望んでいますが、実際に医療機関を受診した人は11.88%でした。

向精神薬などがリスク

 遅漏のリスクは、向精神薬使用2.41倍、骨盤外傷2.39倍、パートナーに対する満足度の低さ2.27倍、勃起(ぼっき)障害(ED)2.04倍、神経疾患2.02倍、肥満1.51倍、自慰(じい)頻度の多さ1.24倍、性交頻度の多さ1.17倍の順でした。

有効な治療薬は

 決定的な治療薬は残念ながらありませんが、交感神経系を刺激するパーキンソン病の治療薬や、抗セロトニン作用を有するアレルギー治療薬、射精促進作用があるヨヒンビンなどが効果的という報告があります。心因性の要素が強い場合はカウンセリング療法が有効なことがあります。

不適切な自慰はNG

 不適切な刺激方法による自慰行為は女性性器内での射精を困難にしてしまうことがあるので注意が必要です。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。

山形徳洲会病院

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