夫婦関係の変化
一般的に、夫は妻が若いうちは周囲からの干渉を排し、自分だけで独占しようと考えるものです。妻の浮気など断じて許しません。
夫の妻への関心度
それが年齢を重ねるにつれ、妻の女性としての価値が低下したと勝手に判断するようになり、それにつれて妻への関心を減退させていく夫が少なくないようです。嫉妬(しっと)の気持ちや愛情そのものも失せていくという話も耳にします。
妻は夫が自分に関心を示さないことにいらだちを覚え、不平を漏(も)らすようになりますが、こうした反応がさらに夫の関心を萎(な)えさせるというケースも。もともと目移りが激しい男性の中には他の女性に関心を示す不埒者(ふらちもの)も現れるようです。
高まる妻の欲求不満
妻は年をとるにつれ女性ホルモンは低下しますが、「性欲の燃料」とされる男性ホルモン(テストステロン)は相対的に増加します。
その結果、妻の性欲は高まりますが、夫は自分に関心を向けず、若かった時と違って他の男性が現れても無関心。欲求不満は高まるでしょう。

過半数が「離婚考えず」
とはいえ、幾多の試練を経ながらも半数以上の夫婦が離婚せずに添い遂げています。2024年に行われた50~79歳の既婚男女600人を対象とした夫婦関係に関する調査では、離婚を考えたことのある人は約40%と半数以下で、夫婦関係の満足度は66.3%でした。
「若さ」「性欲」といったものを乗り越え、「頼りがい」「思いやり」など永続的な価値を見出すようになります。
夫婦間の絆
人類は夫婦間に軋轢(あつれき)をもたらす心理メカニズムを備えている一方で、夫婦間に協調を可能にするメカニズムを進化させてきたのです。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。
