山形コミュニティ新聞WEB版

脳の四方山話

顔面けいれん

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 鏡を見て、片側のまぶたがピクピク動いたり、口元が勝手に引きつったりすることはありませんか?そんな症状が続く場合、「顔面けいれん」かもしれません。

顔の半分がピクピク

 顔面けいれんは自分の意思とは無関係に顔の筋肉が動いてしまう病気で、片側の顔にだけ症状が出るのが特徴です。

 最初は目の周囲の軽いけいれんから始まり、次第に頬などにも広がっていきます。症状が進行すると、顔のゆがみが目立つようになり、人前での会話や写真撮影、食事などの日常生活に支障をきたす場合もあります。

顔面神経が圧迫され

 顔面けいれんの主な原因は、顔の筋肉を動かす「顔面神経」が脳の中で血管に圧迫されることです。ごくまれに脳腫瘍(のうしゅよう)や動脈瘤(どうみゃくりゅう)などの病気が背景にあるケースもあるため、MRIなどの検査が必要です。

ボツリヌス療法が基本

 治療法として大きく2つ。まずはボツリヌス療法です。けいれんしている筋肉にボツリヌス毒素(ボトックス)を注射して筋肉の動きを抑える方法で、外来で短時間に行えて症状も速やかに改善しますが、効果は3~4カ月程度で切れてくるので、継続的に注射を受ける必要があります。

 2つ目は、根本的に治したい場合に神経を圧迫している血管を外すという手術が選択されます。こちらは当然リスクも伴いますので、医師とのしっかりとした相談が必要になります。

 薬による治療も行われることがありますが、効果には個人差があり、現在は補助的手段と位置付けられています。

気になる症状があれば

 顔面けいれんは命に関わる病気ではありませんが、日常生活において大きなストレスとなることが少なくありません。

 気になる症状があれば、早めにお近くの医療機関に相談することをお勧めします。

ミロク脳神経リハビリクリニック 院長

齋藤 佑規(さいとう ゆうき)

1980年(昭和55年)酒田市生まれ。酒田東高から山形大医学部に進み、脳外科医として山大医学部付属病院、山形済生病院などでの勤務を経て2023年9月にミロク脳神経リハビリクリニックを開業。日本脳神経外科学会専門医・日本リハビリテーション医学会専門医。

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