山形コミュニティ新聞WEB版

乳腺外来の現場から・内科の現場から

内科の現場から/甲状腺(上)

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 今回は意外に知られていない甲状腺のお話です。やまコミ読者の皆さんは甲状腺がどんな役割を担っているかご存知でしょうか。

甲状腺ホルモンを分泌

 甲状腺はのど仏の下にあり、蝶(ちょう)が羽を広げたような形をしている臓器です。重量は約20グラムと小さいものの、人間の身体で純粋にホルモンを分泌する臓器としては最大で、ここから出る甲状腺ホルモンが全身の代謝をコントロールしています。

 つまり甲状腺の働きを一言でいうなら「新陳代謝を高めるホルモンを分泌する臓器」ということになります。

バセドウ病と橋本病

 甲状腺ホルモンが多くなったり少なくなったりすると様々な症状が出ます。

 多すぎる病気の代表が「バセドウ病」で、暑くないのに汗をかく、動悸(どうき)が続く、いくら食べても体重が減る、手が震えるといった症状が現れます。眼球が突き出ることもあります。

 少なすぎる病気の代表が「橋本病」で、極端な寒がり、体重の増加、やる気が出ない、むくみなどの症状が出ます。このむくみは押しても指の痕が残らないというのが特徴です。

甲状腺が腫れる

 それぞれの症状は真逆ですが、どちらも共通して甲状腺が腫(は)れています。視診や触診で甲状腺の腫れが疑われる場合、超音波検査で実際の大きさを測定し、ホルモンの数値やバセドウ病、橋本病の診断に関わる項目を採血検査で診断します。

 健康診断での医師からの診察の際に「甲状腺が腫れている」「首が腫れている」というような所見があった場合、無症状でもどちらかの疾患である可能性があります。

心配なら検査を

 また甲状腺の腫れも実際にはさほど目立たない場合もありますので、気になる症状があればお近くの医療機関に相談することをお勧めします。

うるしやまクリニック院長 院長

尾形 貴史(おがた・たかし)

2007年山形大学医学部卒業。同大付属病院、公立置賜総合病院、山形済生病院などを経て現職。日本乳癌学会乳腺認定医。2025年2月に「うるしやまクリニック」開院。

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