山形コミュニティ新聞WEB版

乳腺外来の現場から

乳がんの危険因子

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 日本人女性の9人に1人が罹患する乳がん。今回はそんな乳がんの危険因子についてお話ししましょう。

血縁者に乳がんの人は?

 受診率の高い米国では、1975年から2019年までの間に乳がんの死亡率が58%低下しています。検診を定期的に受ければ乳がんを早期に発見でき、早期治療につなげれば当然ながら死亡率は低下します。

 これに対して日本では、10年ほど前からようやく少し死亡率の低下がみられるようになってきている程度です。

他の病気の存在

 乳がん以外の病気にかかっている場合もリスクは増加します。代表的なものが糖尿病で、糖尿病があると乳がんリスクが高まるのは「ほぼ確実」とされています。

 更年期障害を治療するための長期間にわたるホルモン補充療法も「ほぼ確実」にリスクを増加させると言われています。

 このほか、マンモグラフィにおいて乳腺の濃度が高い、良性の乳腺疾患があるといった場合なども乳がんリスクの増加になることがあります。

生活習慣もリスクに

 喫煙や飲酒などの生活習慣も危険因子です。喫煙による乳がんリスクの増加は「ほぼ確実」とされ、受動喫煙によるリスクの増加も「可能性あり」です。

 また適量を越すアルコール摂取が常態化している人や肥満の人で、特に閉経後の女性の場合、リスク増加は「確実」とされます。

リスク回避には

 家族歴や既往症は回避できませんが、生活習慣は改善に務めることでリスク回避は可能です。正しい生活習慣を心がければ乳がんリスク軽減につながるだけでなく、糖尿病の予防にもつながり、ひいてはあらゆるがんの予防にもつながることをお忘れなく。そして何より早期発見・早期治療が大切です。

うるしやまクリニック院長 院長

尾形 貴史(おがた・たかし)

2007年山形大学医学部卒業。同大付属病院、公立置賜総合病院、山形済生病院などを経て現職。日本乳癌学会乳腺認定医。2025年2月に「うるしやまクリニック」開院。

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