山形コミュニティ新聞WEB版

真理子先生の女性のミカタ

更年期(7)

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 これまで更年期障害が起きる機序(きじょ)や様々な症例を解説してきましたが、今回は更年期障害の治療についてお話しします。

基本はホルモン補充療法

 治療の基本は「ホルモン補充療法」です。更年期障害は女性ホルモンの分泌が減ることによって生じることから、不足する女性ホルモンを補う療法です。飲み薬、貼(は)り薬、塗り薬があり、患者さんによって種類と方法を使い分けます。

 この療法によって様々な症状が緩和され、特に上半身の火照りや汗と共に動悸や息切れが起こる「ホットフラッシュ」には有効とされます。

 またこの治療は更年期障害だけでなく、本来の閉経前に卵巣を摘出された方、早く閉経された早発閉経の方、脂質異常や骨粗しょう症の予防にも効果があります。

不向きな方も

 ただ女性ホルモンだけを長期に投与すると子宮内膜が厚くなり、子宮体がんのリスクが高まってしまいます。そのため通常は女性ホルモンと黄体ホルモンを併用します。

 また子宮を摘出された方の場合、乳腺(にゅうせん)への影響がより少ない女性ホルモンだけを補う方法を行います。 

 中には治療に不向きな方もいらっしゃいます。子宮や乳房のがんを過去に患ったことがある方、脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞(しんきんこうそく)の方などで、左に詳細を示しました。

予防には体操が効果的

 このため、予防には骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」が有効とされます。すでに実践している方もいらっしゃるでしょうが、朝晩、布団の上で20~30分、毎日行えば2カ月で症状が改善したという例もあります。

 予防は若い時から始めるのがお勧めです。例えば妊娠が分かった時から体操を始めれば、産後や高齢になってからの発症が減るとされます。

薬の服用も

 適切なお薬を服用すれば症状が緩和することもあります。尿失禁は自宅にいる場合はさほど不都合は感じないとはいえ、たまの外食や旅行などに出かける時はトイレを気にせずにゆっくり楽しみたいもの。そんなハレの予定が入った時は、あらかじめ専門医に相談してお薬を処方してもらえば安心でしょう。

伊藤真理子先生

真理子レディースクリニック 院長

伊藤 真理子(いとう まりこ)

1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。

真理子レディースクリニック

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