更年期(6)
更年期の女性に多い症状の一つに尿失禁(尿もれ)があります。40代から増え始め、年代が進むとさらに悩まれる方が増えます。
3タイプの尿失禁
女性の尿失禁には大別すると、おなかに力がかかった時に起きる「腹圧性」と、尿意をもよおしてからトイレまで我慢できない「切迫性」、腹圧性と切迫性の「混合型」の3タイプがあります。
このうち半分以上を占めるのが腹圧性で、せきやくしゃみをした時、植木鉢や漬物石といった重い物を持ち上げようとした時などに症状が現れやすくなります。
原因は骨盤底筋の緩み
切迫性は約20%で、原因としては膀胱(ぼうこう)が過敏になっていることが考えられます。子宮筋腫(きんしゅ)や卵巣腫瘍など婦人科の疾患が隠れていることもあります。混合型は約20~30%とみられています。
ただ、タイプは分かれるものの、女性の尿失禁の直接の原因は骨盤底筋の緩みにあります。骨盤底筋の緩みは出産や加齢によるホルモンの低下で生じます。

予防には体操が効果的
このため、予防には骨盤底筋を強化する「骨盤底筋体操」が有効とされます。すでに実践している方もいらっしゃるでしょうが、朝晩、布団の上で20~30分、毎日行えば2カ月で症状が改善したという例もあります。
予防は若い時から始めるのがお勧めです。例えば妊娠が分かった時から体操を始めれば、産後や高齢になってからの発症が減るとされます。
薬の服用も
適切なお薬を服用すれば症状が緩和することもあります。尿失禁は自宅にいる場合はさほど不都合は感じないとはいえ、たまの外食や旅行などに出かける時はトイレを気にせずにゆっくり楽しみたいもの。そんなハレの予定が入った時は、あらかじめ専門医に相談してお薬を処方してもらえば安心でしょう。

真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
