山形コミュニティ新聞WEB版

泌尿器講座

腎臓を守る生活習慣(下)

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 頭痛や歯痛、関節痛などに悩まされている方も多いはず。そんな方々が頼りがちなのが鎮痛薬ですが、この鎮痛薬が腎臓に思わぬ副作用をもたらすことがあります。

NSAIDsの副作用

 鎮痛薬の代表格といえば「ロキソプロフェン」「イブプロフェン」で、これらは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)と呼ばれます。NSAIDsは痛みや炎症を引き起こす物質「プロスタグランジン」が体内でつくられるのを抑える働きがありますが、その一方で腎動脈を収縮させ、腎臓への血流が減る結果、腎障害を引き起こすこともあります。もともと慢性腎臓病の方は腎障害のリスクが高いので注意が必要です。

坐薬や湿布薬は?

 NSAIDsには経口薬の他に坐薬や湿布薬があります。坐薬は経口薬同様に薬物の血中濃度が上がるので使いすぎには注意が必要です。

 湿布薬は安全性が高いものが大半ですが、腎機能が落ちている方は薬物の血中濃度が上昇して腎機能障害を起こす場合があるので要注意です。

脱水症状時の禁忌

 感染症による発熱や胃腸炎で脱水状態になっている場合、血圧が低下して腎血流量が減少し、腎機能が低下します。脱水症状の時はNSAIDsの使用は禁忌です。

 利尿剤やレニン‐アンギオテンシン系の降圧剤も脱水状態では急性腎障害の危険が高まりますが、一方で休薬により心疾患が悪化することもあり自己判断での休薬は危険です。

 骨粗しょう症治療薬である活性型ビタミンDは、脱水状態では高カルシウム血症による急性腎障害の危険が高まるため、一時的に休薬することがお勧めです。

普段から相談を

 薬剤性腎障害を避けるためには、常用薬の取り扱いについてあらかじめかかりつけの医師や薬剤師に相談しておくとよいでしょう。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長

石井 達矢(いしい たつや)

1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医。日本医師会認定産業医。

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