真理子先生の女性のミカタ
更年期(5)
更年期になると女性ホルモンの分泌が減り、膣からの分泌物「おりもの」も減少します。
膣内の清潔さが失われ
おりものが減ると、膣内の潤いは失われ、カサカサしたりヒリヒリしたりする場合もあります。
実はおりものには膣をきれいにする働きもあり、おりものが減れば膣の自浄作用も期待できなくなってしまいます。膣粘膜も硬くなり、雑菌などが繁殖しやすくなります。さらには萎縮(いしゅく)性膣炎や細菌性膣炎などの炎症を引き起こすこともあります。
洗いすぎは逆効果
かと言って膣内の清潔さを心がけるあまり、便座の水勢を強くするのは逆効果。入浴時に刺激の強い石鹸を直接膣外陰につけて洗いすぎたり、シャワーを強くして直接洗い流そうとするのも良くありません。
おりものが減ってデリケートになっている膣の皮膚や粘膜には刺激が強すぎ、かえって悪くなってしまうことも。

性交時の痛みも
また「性交時に痛みを感じる」「痛いけど我慢して性交している」という悩みもうかがいます。
女性ホルモンの減少で膣の粘膜が薄くなり、弾力も少なくなっているところに、おりものが減って膣がカサカサ、ヒリヒリした状態での性交渉はおツラいでしょう。
パートナーも理解を
そんな時は、パートナーにありのままを伝えて理解を求めることも大切です。男性もパートナーへの思いやりの気持ちをお忘れなく。無理強いは実はDVなのです。
ただお互いが性交に前向きであれば、潤滑ゼリーなどを使うのも一つの方法です。また日ごろからのフェムケア(膣のケア)も考えてみましょう。不足がちな女性ホルモンを補うことも効果的です。

真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
