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片頭痛の新予防薬
今年1月、新タイプの片頭痛予防薬が承認され、早ければ4~5月にも臨床現場に登場する見通しです。今回はこの新薬「CGRPモノクローナル抗体」のお話です。
片頭痛だけに照準
どこが新タイプなのかと言いますと、従来の予防薬は降圧剤や抗うつ薬など他の病気で広く使われている薬を“転用”したものでしたが、新薬は片頭痛を誘発するホルモン(CGRP)にターゲットを絞り、片頭痛の発症を抑制します。
また従来の予防薬は経口薬で連日投与でしたが、新薬は月1回の皮下注射(外来か自己注射)になります。
メリットとデメリット
新薬のメリットとして①効き目が早い②副作用が少ない③従来薬が効かなかった片頭痛にも効く可能性がある――などが指摘されています。
一方でデメリットは従来薬に比べ高価になりそうな点と、注射薬で当面は月1回外来での注射が必要な点です。
どんな人が対象に?
新薬の添付文書では、最新の頭痛ガイドラインに沿った治療を行っても日常生活に支障をきたす患者とされています。従来薬による治療を行っても片頭痛の回数が月8日以上続く患者さんが対象になると考えられます。
また小児に対するデータがないため、現時点では成人が対象となりそうです。
希望の光に
片頭痛は拍動性の中等度から重度の頭痛が繰り返し生じ、4~72時間にわたって痛みが続きます。日常生活に支障をきたす疾患としては、腰痛に次いで2位が片頭痛にとされます。
日本における片頭痛有病率は8.4%で、男女とも20~50歳代の勤労世代に多くみられることから、日常生活だけでなく社会生活にも影響を及ぼす病気です。
TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。