〈荒井幸博のシネマつれづれ〉県内映画人 今年を振り返り
嬉しい山形県勢の活躍
今年の映画界はアニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』、実写映画では「国宝」が席巻した感があるが、本県関係者の活躍も嬉しかった。
最上町出身の岸善幸監督が菅田将暉を主演に迎えてメガホンを取った「サンセット・サンライズ」は1月の公開。広瀬すず主演で2月に公開された「ゆきてかへらぬ」は、東北芸術工科大学の根岸吉太郎理事長の16年ぶりの新作だった。
3月公開の「彼方の家族」は、監督の川崎たろうさん、坂内映介さんをはじめ、芸工大出身者や現役生、多くの県内在住者が関わった作品。9月に公開され、興収100億円超のヒットとなったアニメ「チェンソーマン レゼ篇」の原作者、藤本タツキさんは芸工大美術科洋画コースの卒業生。

山形市在住の作家、柚月裕子さん原作の「盤上の向日葵」の公開は10月。真室川町出身のスタイリスト荒木里江さんは「室町無頼」(公開1月)、「花まんま」(同4月)、「風のマジム」(同9月)、「楓」(同12月)と、なんと4作品を担当する活躍ぶり。
ちなみに「風のマジム」には米沢市出身の眞島秀和さんが出演。眞島さんは12月公開の「劇場版「緊急取調室 THE FINAL」にも出演している。
来年放送のNHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」の撮影が5月に慈恩寺(寒河江市)でスタート、主演の仲野太賀さんと池松壮亮さんの登場に地元は沸いた。11月公開の「旅と日々」の撮影はスタジオセディック庄内オープンセットを中心に庄内各地で行われた。
掉尾を飾るのは、村山市出身で山形市在住の村川透監督(88歳)が映画人生の集大成として、柄本佑さんと宇崎竜童さんを主演に故郷・村山で撮影した「LAST DANCE 最後の遊戯」が11月にクランクアップ。故松田優作のワールドが現代に蘇る。
天童市在住の佐藤広一監督の「マダム・ソワ・セヴェンヌ」とともに、来年の公開が待たれる。

シネマパーソナリティー
荒井 幸博
1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(金曜19時)を担当。