内科の現場から/予防医療
今回は「予防医療」のお話です。まず次の2つの文章を読んでみてください。
①「毎日手洗いやうがいをしているのに、どうして風邪(かぜ)をひいてしまったのだろう」
②「毎年乳がん検診を受けているのに、どうして乳がんになってしまったのだろう」
病気を避けるための1次
どうですか。②はなんだか変だということにお気づきでしょうか。ここからが本題です。
予防医療には「1次予防」「2次予防」「3次予防」の3段階があります。1次予防というのは、予防医療において最も大切で、「病気にならないようにする」ことを指します。①が1次予防で、風邪をひかないために手洗いやうがいを励行したり、食生活や運動に気をつけて高血圧や糖尿病などの生活習慣病にならないようにしたりすることなどが該当します。
2次は早期発見・治療

2次予防は、「病気を早期に発見し、早期に治療すること」です。②のように毎年乳がん検診を受けることは2次予防に該当しますが、検診で病気を早期に発見できたとしても、それを早期治療につなげなければ意味はありません。
検診で異変を指摘されたものの、症状がないからといって放置し、気が付けば病気が進行していたというケースは乳がんに限らず、高血圧症や糖尿病などでも少なからずあります。
健康診断を「受けただけ」で済ませるのは厳に避けましょう。
悪化を防ぐ3次
最後の3次予防は、平たくいえば「これ以上悪化しないようにすること」です。麻痺(まひ)が残った身体のリハビリや、完治が難しいがんなどの症状を和らげるといった目的があります。
3次予防をしなくて済むように、遅くとも2次予防の段階で早期発見・早期治療ができるように、健康診断で異常がなくとも身体に異常を感じたら、迷わず医療機関の受診を行いましょう。

うるしやまクリニック院長 院長
尾形 貴史(おがた・たかし)
2007年山形大学医学部卒業。同大付属病院、公立置賜総合病院、山形済生病院などを経て現職。日本乳癌学会乳腺認定医。2025年2月に「うるしやまクリニック」開院。


