山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第198回 上山市十日町商店街

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 江戸時代に羽州街道の宿場として栄えた上山市十日町通りには、土蔵造りや木製格子窓(こうしまど)、しっくい壁などいにしえの建物が今も数多く残っており、時が止まったような風情を醸(かも)している。

 通りは決して広くはないが、乗用車もバスも細心の注意を払って通行し、街の雰囲気に溶け込んでいる。買い物ついでに公衆浴場などの温泉に立ち寄ることもできるこの商店街は今では稀有な存在で、道路拡幅のたびに消えていく山形市の商店街とは対照的だ。

 地区では「十日町地区景観ガイドライン」を制定し、旧羽州街道の佇(たたず)まいを将来に守り伝えようとしている。ただ昨今は温泉客の減少、コンビニの台頭などで「菊地金物店」や「鈴木八百屋」など個人商店の閉鎖が続き、時代の厳しさも感じさせている。

 埼玉の川越や青森の黒石、秋田の角館など、景観保存に成功したところはやはり同じような危機を乗り越え、現在のにぎわいを得られたのだと思うが、十日町はどうなるであろう。

 慶長5年以来の歴史を持つ「石井伊惣治商店」の味噌、明治初期から続く「清水屋」の生活雑貨などを求めて訪れる人はまだ多いようだが、昭和からそれ以前の雰囲気を持つ商店街全体が今の風情を保てるのかどうかが気にかかる。(F)

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