五感の男女差(2)
今回は「視覚」の男女差についての考察です。
色に敏感なのは女性
目の網膜(もうまく)は光を映像化し、脳に運ぶという大切な役割を担っています。一般的に、網膜には位置や方向、速度を感知するM細胞と、色や質感を感知するP細胞があり、M細胞は男性の網膜に、P細胞は女性の網膜により広く分布しています。この違いが視覚における性差をもたらすと考えられています。
また網膜には色を識別する錐状体(すいじょうたい)細胞という視細胞があり、そのもとはX染色体です。ということは女性は2つ、男性は1つしかないので、女性の方が微妙な色を識別する能力が高いとされます。
実際、色覚障害は男性に現れ、女性は遺伝子があっても疾患(しっかん)として現れにくいのです。

視力に優れる男性
視覚は視力と視野に大別されますが、概して視力は男性が女性より優れ、視野は女性が男性より優れるようです。一般に男の子は車など動くものが好きで、女の子は動かない人形が好きで、静止画を好むとされます。
こうした視覚における性差には、人類の進化に伴う環境の影響も深くかかわっているようです。男性は食物となる獲物を得るため視野を狭くしてまっすぐ遠方を見る必要に迫られ、そのための努力、訓練を積み重ねた結果、方向感覚が鋭くなりました。
ただ現代においては、男性は視野が狭いため交差点での事故が多く、冷蔵庫の中の物を見つけられないという短所にもつながっています。
視野が広いのは女性
一方、女性は家にいて子育てをする必要上、子どもの変化を素早く感知する能力が磨かれました。色彩感覚も鋭くなり、視野も広くなりました。周りの女性たちの衣類や装飾品の微妙な色彩の変化にも敏感なのはこのためと考えられます。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。
