山形コミュニティ新聞WEB版

セピア色の風景帖

《セピア色の風景帖》第197回 新清堂菓子店(山形市)

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 その昔、猫の足裏のようなお菓子をいただいた。大きな工場で作られたものと思いきや、実は古い小さな個人商店の手づくりによるものと分かり、その店を訪ねてみたことがあった。

 山形市西部の中心にそびえる富神山の麓、戦後の一時期に存在した柏倉門伝高の通りを北に進むと、門伝四辻付近に商店街が現れる。その並びにある「新清堂菓子店」がその店であった。

 軒先のビニール製のひさし、商品を強くアピールする看板に少し驚きながら入口を探すと、昭和の音を奏でる未だ木枠のままの引き戸。土間にコンクリート打ちの床、年季の入った陳列台など、どこをとっても現代を感じさせるものはない。

 並ぶ品物は主に店主の手による洋菓子で、富神山を模した「とんがり山サブレ」、数種のシフォンケーキ、そしてくだんの猫の足裏のような「肉球ショコラ」等々。

 店主は昭和時代のように一見客の自分にお茶を勧めてくれ、店の来歴から商品名の由来などを語ってくれた。商店街には本来、地域の憩いの場や住民の安否確認など、今の商店街が喪失してる役割があったという話が印象に残った。

 最後に肉球ショコラのモチーフになった猫を見せてほしいとお願いしたところ、食品商売のため猫は飼っていないとのことであった。(F)

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