排尿障害の原因薬剤
他の病気に対するお薬を服用した場合、尿の出が悪くなってしまう場合があります。今回はそんな「薬剤性排尿障害」のお話です。
抗ヒスタミン剤
総合感冒薬(かんぼうやく)(かぜ薬)や鼻炎薬(びえんやく)には、鼻水や鼻づまりを改善する「抗ヒスタミン剤」という成分が入っており、膀胱(ぼうこう)の収縮力が低下します。特に1980年代以前の主流だった「第一世代抗ヒスタミン剤」は副作用が強いとされています。
また、咳(せき)止めのお薬に含まれる「エフェドリン」は尿道抵抗を高める結果、排尿障害の原因になります。

抗コリン薬
「抗コリン薬」は副交感神経の作用をブロックする薬剤で、副作用として膀胱排尿筋の収縮力を低下させ、排尿障害の原因になります。
抗コリン薬を含む薬剤は、過活動膀胱薬や胃腸薬、抗不安薬、睡眠薬、抗うつ薬、一部の抗パーキンソン病薬など多岐に及んでいます。
α受容体刺激薬
血圧が低い方や立ちくらみがひどい方に処方する「α受容体刺激薬」は、尿道の抵抗を高め、排尿障害の原因になります。前立腺(ぜんりつせん)肥大症で排尿がしづらい方に処方する「α1受容体阻害薬」の逆の機序になります。
一部の漢方薬
かぜや肩こりに処方される漢方薬で、葛根湯(かっこんとう)など「麻黄(まおう)」という成分が入っているタイプも、交感神経を刺激し、尿道平滑筋の緊張を高めることで尿道抵抗が上昇し、排尿障害の原因になります。
出づらさを感じたら
このように、薬剤性排尿障害を引き起こすお薬は実に多いことがお分かりでしょう。
新しいお薬の服用を始めて尿の出づらさを感じた場合は、そのお薬が排尿障害の原因なのかどうかをかかりつけの薬剤師さんや主治医に相談されることをお勧めします。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長
石井 達矢(いしい たつや)
1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医。日本医師会認定産業医。
