山形コミュニティ新聞WEB版

脳の四方山話

歩き方に現れる脳の異変

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 ご両親と久しぶりに再会して、「なんだか歩き方がよちよちになったような…」と感じた事はありませんか?それ、脳の変化を知らせる大切なサインかもしれません。

「歩く」は脳が指令

 私たちは普段、無意識に歩いていますが、そもそも歩くという行為は脳の司令によるものです。脳が「右足を出して」「次は左足」などと絶え間なく命じ、神経を通って筋肉に伝わることではじめてスムーズに歩くことができます。

 つまり足そのものは元気でも、脳がうまく指令を出さないととたんに歩き方がぎこちなくなってしまうのです。

パーキンソン病

 つい最近、歌手の美川憲一さんがパーキンソン病を患っていることが話題になりましたが、脳の障害で歩き方がぎこちなくなる代表的な病気がこのパーキンソン病です。

 この病気は脳の中にある体の動きをスムーズにする物質が足りなくなることで起こります。罹患(りかん)すると最初の一歩がうまくいかず、小刻みにチョコチョコと歩くようになったりします。

 また一度歩き出すと止まらなくなったり、前のめりの歩き方になることもあります。

特発性正常圧水頭症

 特発性正常圧水頭症という病気も歩き方に影響します。罹患すると脳が内部に溜まった水で圧迫され、ガニ股歩きや摺り足になったりします。

もちろん認知症も

 もちろん、認知症でも歩き方は変わります。まわりの空間をうまく把握できなくなったり、注意力が散漫になったりして、慎重すぎるほどゆっくり歩くようになったり、ふらつきやすくなったりします。

異変は脳のSOS

 もしご自身やご家族の歩き方に違和感を感じたら、それは脳がS0Sを求めている合図かもしれません。専門医に相談しましょう。

ミロク脳神経リハビリクリニック 院長

齋藤 佑規(さいとう ゆうき)

1980年(昭和55年)酒田市生まれ。酒田東高から山形大医学部に進み、脳外科医として山大医学部付属病院、山形済生病院などでの勤務を経て2023年9月にミロク脳神経リハビリクリニックを開業。日本脳神経外科学会専門医・日本リハビリテーション医学会専門医。

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