男性が好む“におい”
異性に性的魅力を感じるのは、女性は男性のにおい、男性は女性の容貌が多いとされますが、男性にも好む女性のにおいがあるようです。
エストロゲンに反応
スイス・ベルン大の研究グループが2018年、健康な女性28人の排卵期に脇の下にパッドを貼(は)ってもらい、そのにおいを57人の男性に嗅(か)がせたところ、男性が好むにおいはエストロゲンの分泌が多く、プロゲステロンの分泌が少ない女性のものでした。2つは代表的な女性ホルモンで、一般にエストロゲン分泌が多いほど生殖能力は良好とされています。
排卵期が高評価
東京大の研究グループは今年、健康な女性21人から月経期、卵胞期、排卵期、黄体期の腋窩臭(わきが・脇の下のにおい)を採取し、独身男性72人の評価を検討しました。
その結果、排卵期の腋窩臭に対する男性の評価は、他の時期のそれに比べ高い傾向にありました。そして排卵期の腋窩臭を科学的に分析したところ、3つの成分が有意に増加していました。
実際、3成分を他の月経周期の腋窩臭に添加してみると、「汗臭い」といったマイナス面は薄れていました。

2つの効果も
男性が排卵期臭を嗅いでいる際、2つの効果があることも分かりました。一つはストレスの指標とされる唾液中のαアミラーゼが抑制され、リラックス効果を発揮すること、もう一つは女性の写真に対する評価が上昇することでした。
カップリングを左右
排卵期臭、わけても3成分が男性の心理状態、生理的ストレス、さらには女性に対する視覚的知覚まで影響を及ぼすことが分かったわけで、においは男女間のカップリングを左右するといっても過言ではないでしょう。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。
