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片頭痛の新薬
薬事審議会が先月、米国の大手製薬会社ファイザーの新しい片頭痛治療薬「ナルティーク」を承認しました。
従来の主流はトリプタン
そもそも片頭痛とは、拍動性(はくどうせい)の中等度から重度の頭痛が繰り返し生じ、4~72時間にわたり痛みが続く病気です。地球上に存在する病気としては3番目に頻度(ひんど)が高いとされ、日常生活に支障をきたす病気の中では腰痛に次いで2番目に深刻といわれています。
治療薬としてこれまではトリプタンが一般的でしたが、鎮痛効果に乏しく、副作用も指摘されていました。
ナルティークが承認
ナルティークは片頭痛を誘発するホルモン(CGRP)をターゲットにした新薬です。同様の薬に2021年に承認された注射薬の「エムガルティ」「アジョビ」「アイモビーグ」の3種類がありますが、ナルティークは内服薬です。
メリットとデメリット
メリットは既存の3種と同様、即効性があるところと副作用が少ないところです。デメリットは既存の3種は月1回の皮下注射ですが、ナルティークは2日に1回の内服が必要で、飲み忘れの懸念などがあります。
発症抑制効果も

またナルティークは痛みを和らげる「急性期治療」だけでなく、発症を予防する「発症抑制」でも承認を受けており、両方で承認を受けたのは国内では初めてです。
すでに海外では多くの国や地域で承認済みですが、従来の内服薬よりもナルティークを好むと回答した患者は75%と報告されています。
患者さんには朗報
医療現場で実際に使われるまでにはまだ時間がかかりますが、片頭痛に悩む患者さんにとっては明るいニュースですね。

TFメディカル 嶋北 内科・脳神経外科クリニック 医師
佐藤 篤(さとう あつし)
2002年山形大学医学部卒業。山大医学部附属病院、山形済生病院、済生館病院などを経て現職。日本脳神経外科学会認定脳神経外科専門医。医学博士。
