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乳腺外来の現場から・内科の現場から

乳腺外来の現場から/乳がん検診

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 10月は「ピンクリボン月間」で、乳がんに関する啓発活動が行われます。そこで今回は乳がん検診の方法についてお話ししましょう。

マンモとエコー

 乳がん検診で実施される代表的な検査といえば「マンモグラフィ」と「超音波検査(エコー検査)」です。よく患者さんから「マンモとエコー、どっちがいいの?」というご質問を受けます。

 結論から言えば、それぞれの検査に得意な分野とそうでない分野があり、どちらがいいとは言えないということになります。

メリットとデメリット

 マンモはしこりになる前の「石灰化(せっかいか)」という段階でがんを検出するのが強みで、40歳以上なら乳がん死亡率の低減効果が証明されています。ただ40歳未満の場合は病変が隠れてしまって見つけにくいほか、数ミリの小さな乳がんは見逃してしまう欠点もあります。

 また人体に影響を及ぼす程度ではありませんがわずかながら被爆(ひばく)があり、多くの方が痛みを感じる検査です。

「併用」のススメ

 エコーは被爆も痛みも伴わず、マンモでは写りにくい小さながんを発見できるメリットがありますが、石灰化の病変の観察は苦手です。

 このため、乳がん診療ガイドラインでは、マンモとエコーの併用により、早期がんの発見率が上がるとされています。

MRI検査も

 昨今はMRIによる検診も増えてきました。着衣のままで検査でき、痛みや被爆もありません。複数の撮影方法の画像を比較し、良性・悪性の判断がある程度可能です。

 最後に申し上げたいことは、「どの検査を受ければいいの?」と悩むのではなく、特に40歳以上の女性の方にはとにかく定期的に乳がん検診を受けていただきたいということに尽きます。

うるしやまクリニック院長 院長

尾形 貴史(おがた・たかし)

2007年山形大学医学部卒業。同大付属病院、公立置賜総合病院、山形済生病院などを経て現職。日本乳癌学会乳腺認定医。2025年2月に「うるしやまクリニック」開院。

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