膝痛の対処法(下)
膝痛の対処法として前回は「人工膝関節置換術」という手術について解説しましたが、手術に抵抗感を持つ人もいらっしゃるはず。そんな方には「ラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法」も選択肢になります。
ラジオ波焼灼療法
この治療は、膝の痛みを伝える神経にラジオ波で熱を加え、痛みの信号を遮断(しゃだん)する方法です。関節の中を切ったり削ったりすることはなく、体に大きな負担をかけません。局所麻酔で行えるため、高齢の方や心臓病などの持病を抱える方でも安心して受けられます。
治療時間は30分ほどで、終了後、すぐに歩けて仕事や家事に復帰することも可能です。
保険診療の対象です
効果はおよそ1~2年持続し、痛みが半分以下に軽くなることが多く報告されています。また、自由診療ではなく保険診療として受けられる点も大きな特徴です。
これまで「痛いけど、歳なので仕方がない」と諦めていた方にとって、新たな可能性を開く治療といえるでしょう。
喜びの声が続々と

実際、膝痛で長く車椅子生活を強いられながらも「もう(人工膝関節置換術の)手術は難しいのでは」と諦めていた90代の方がいました。その方がこの治療を受けたところ、痛みが和らぎ、自分の足で数歩歩けるようになりました。
また、趣味がサッカーという50代の男性の場合、「骨切り術」の治療を受けても膝の痛みが残り、思うようにプレーできませんでした。それがこの治療で痛みが軽減し、再びピッチに立つことができました。
まずは相談を
人工膝関節置換術を受けるほどではなくても痛みを和らげたい方、また高齢や持病のために大きな手術を避けたい方にとって、ラジオ波焼灼療法はお勧めです。
「忙しくて手術は無理」と諦めず、まずは医師に相談してみてはいかがでしょうか。

山形済生病院 整形外科診療副部長
豊野 修二(とよの しゅうじ)
整形外科医。2008年山形大学医学部卒業、2023年より済生会山形済生病院 整形外科診療副部長。医学博士、日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医。
