山形コミュニティ新聞WEB版

脳の四方山話

手の震え

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 ふとコーヒーカップを持った時や、人前で字を書こうとした時に、手がプルプル震えるのに気づいて「ドキッ」としたことはありませんか?

本態性振戦

 最初にお断りしておくと、手の震えは誰にでも起こりえます。緊張を強いられる場面やカフェインの取りすぎ、睡眠不足などが原因で手は震えやすくなります。

 ただ、動作をするたびに手が震えやすいという人は「本態性振戦(しんせん)」という病気が疑われます。ご飯を食べる時にお箸が震えて落ちやすい、字を書こうとすると揺れてしまう――そんな症状です。

立派な病気です

 原因はよく分かっていません(そもそも「本態性」という言葉は原因不明という意味です)。家族に同じ症状を持つ方がいることも多く、体質や遺伝の影響があると考えられています。

 一般的には病気という認知が低く、「メンタルが弱いから」「歳だから」と諦められがちですが、放置しておくと進行してしまいます。

 治療は薬の服用が基本になりますが、症状が強い場合は手術や集束超音波といった特殊な治療が功を奏することもあります。

安静時振戦

 一方、脳・神経系の疾患であるパーキンソン病の代表的な症状として、じっとしている時に手が震える「安静時振戦」があります。本態性振戦とは震えるタイミングが異なり、親指を回転させるように一定のリズムで震えるのが特徴です。

 パーキンソン病は振戦だけでなく動作がゆっくりになる、体がこわばったように硬くなるといった症状を伴って進行することが多く、早期発見が大事になってきます。

まずは医療機関へ

 手の震えは誰でも経験するとはいえ、自覚症状があったり、仕事や生活に支障をきたすようになってきた時は最寄りの医療機関を受診することを心がけましょう。

ミロク脳神経リハビリクリニック 院長

齋藤 佑規(さいとう ゆうき)

1980年(昭和55年)酒田市生まれ。酒田東高から山形大医学部に進み、脳外科医として山大医学部付属病院、山形済生病院などでの勤務を経て2023年9月にミロク脳神経リハビリクリニックを開業。日本脳神経外科学会専門医・日本リハビリテーション医学会専門医。

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