生理痛は万病の元(上)
お腹や腰が痛む月経痛(生理痛)。日常生活に支障をきたすほどなら、それは「月経困難症」という病気です。月経前になると体調が悪くなる「月経前症候群」や気分が落ち込む「月経前気分不快症候群」も含め、我慢していらっしゃる人はいませんか?生理痛を放っておくと様々な病気に進むことが知られています。
生理痛はなぜ起きる?
ご存知のように、月経は小学校高学年から中学生にかけて始まり(初経)、平均50歳過ぎで終わり ます(閉経)。
初経から閉経まではいわば妊娠可能期間。妊娠の準備のため、子宮の内側の子宮内膜は厚くなります。妊娠しなければ不要になって剥(は)がれ落ち、血液とともに体外に排出されます。生理痛はその時に子宮が収縮する痛みです。

プロスタグランジン
もう少し詳しく言えば、子宮内膜を排出する時、子宮の収縮を促す「プロスタグランジン」が産生されます。生理痛はプロスタグランジンの過剰分泌による過度な子宮の収縮が原因とされています。
吐き気や嘔吐も
プロスタグランジンの過剰分泌は腹痛や腰痛といった生理痛の症状はもとより、吐き気、嘔吐(おうと)や下痢など胃腸症状や頭痛の原因にもなります。
臨床的子宮内膜症
生理痛が辛いという人の中には、子宮内膜症につながる「臨床的子宮内膜症(内膜症予備軍)」の方も隠れています。子宮内膜症は、子宮内側以外に散った子宮内膜から出血する病気で、肛門痛や排便痛、性交痛や慢性骨盤痛がある方は、すでに子宮内膜症に進んでいる心配も。
妊娠中は月経がお休みするので症状も改善しますが、出産後月経のたび症状が辛(つら)くなってくる方も御用心。妊娠の高齢化や少産化で、一生涯の月経が増えることが子宮内膜症が増加する一因とも言えましょう。

真理子レディースクリニック 院長
伊藤 真理子(いとう まりこ)
1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。
