山形コミュニティ新聞WEB版

山形済生病院から

膝痛の対処法(上)

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 年齢とともに膝の悩みを抱える方が増えています。特に多いのが、クッションの役割を果たす軟骨がすり減ってしまう「変形性膝関節症」で、全国の患者数は約1000万人、潜在的な患者数は約3000万人にのぼると推定されます。

 階段の昇り降りや、長時間の歩行がつらくなり、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。

豊富な県内の手術実績

 治療にはヒアルロン酸注射や鎮痛薬などで痛みを和らげる方法もありますが、それでも痛みが治まらない場合は「人工膝関節置換術」が選択肢になります。これは傷んだ軟骨を含む関節表面の骨を切除し、金属やプラスチックなどの人工の関節に置き換えるものです。

 人工関節と聞くと、「5〜10年で寿命が来るのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、実際には20年以上の耐久性があると報告されています。

多い50~60代、80代も

 この手術は全国で年間10万件以上行われており、山形県は人口比の手術件数が全国トップクラス。かつては70歳以上が適齢と言われていましたが、昨今は50~60代での手術も一般的で、80歳以上の手術も多く行われています。

 手術後は翌日から歩行訓練を開始し、入院期間は片膝でおよそ2週間、両膝同時手術で3週間ほどです。

諦めないで

 人工関節の目的は痛みの軽減ですが、その先に「何をしたいか」を考えることも大切です。買い物を楽しむ、旅行に出かける、畑仕事を再開するなど、目標は人それぞれですが、「人工関節で人生が変わった」という声をたくさんいただき、私たち医療者の励みにもなっています。

一歩踏み出しましょう

 あなたも「もう年だから」と諦めないで、QOL(生活の質)改善に向けて一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

山形済生病院 整形外科診療副部長

豊野 修二(とよの しゅうじ)

整形外科医。2008年山形大学医学部卒業、2023年より済生会山形済生病院 整形外科診療副部長。医学博士、日本整形外科学会専門医、日本人工関節学会認定医。

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