別れの始まり(上)
愛が燃え上がって結婚したものの、その後に気持ちのズレから離婚に至るケースはよくあるもの。結婚に失敗する夫婦と成功する夫婦の差はどこにあるのでしょうか?
亀裂はふとした会話から
最初の気持ちのズレは小さなものですが、ふとした会話から亀裂は深まっていきます。
米・ワシントン大のゴットマン博士は、3000組以上の夫婦にビデオカメラのある部屋で24時間過ごしてもらい、そのデータを分析することで、離婚する可能性の高い夫婦を見分ける方法を発見しました。
批判と文句の違い
例えば、妻が「どうしてゴミを出してくれなかったのよ!」「どうしていつもそうなのよ!」と夫を批判したとします。この批判は特定の行動(ゴミを出さなかった)だけでなく、相手の性格(いつもそう)さえも含み、いきおい口論に発展してしまいます。
これに対して、「ゴミを出し忘れたでしょ」「そのことで頭にきているのよ」という言い方の場合、特定の行動だけに対する感情の発露です。これは批判ではなく文句にすぎず、口論に発展する可能性は低くなります。

防戦が逆効果に
人から批判されると、批判された側は防戦せざるを得ません。妻の批判に対して「忙しかったんだよ」などと防戦すればかえって逆効果になります。防戦は自分の立場や言い分に終始し、問題は自分ではなく相手にあると聞こえてしまうからです。
相手は自分が責められていると感じるため、防戦に対して理解を示すことはほとんどありません。この時点で会話は口論へと発展してしまうのです。
自分があいまいに批判すると相手側は防戦に務めざるを得なくなり、結果として会話はギクシャクしてしまいます。

山形徳洲会病院院長
笹川 五十次(ささがわ いそじ)
1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。
