尿路結石の予防
激烈な痛みを伴う尿路結石。経験者なら「あんな痛みはもうこりごり」と念じるはずですが、実際には再発させてしまうことも多いもの。今回は尿路結石の再発予防に向けた取り組み方をご紹介しましょう。
減塩のススメ
予防の基本は食生活の改善で、具体的には適度な水分補給と塩分を控えることです。特に塩分を多く摂ると腎臓から排出されるカルシウムが増加し、尿路結石のリスクが高まります。
減塩のコツとしては「汁物の回数を減らす」「麺類の汁は残す」「酸味を活用して調味料を減らす」などがあります。
骨の健康も重要
骨粗しょう症の予防も大切です。骨粗しょう症になって骨からカルシウムが溶け出し、尿中のカルシウム濃度が高まると結石の原因になります。
そうならないためには適度なカルシウム摂取を心がける必要があり、その量は1日当たり600~800ミリグラムが推奨されています。ちなみに牛乳ならコップ1杯のカルシム量が220ミリグラムです。
シュウ酸摂取は控え

尿路結石の中で最も多いのがシュウ酸カルシウム結石で、シュウ酸の過剰摂取を控えることも予防につながります。シュウ酸を多く含む食品としてはホウレンソウやナッツ類、紅茶などがありますが、調理法を工夫すれば安心して楽しめます。
例えばシュウ酸は水溶性のため、ホウレンソウは茹でてから食べると含有量が半減します。また紅茶はミルクを加えてミルクティーにすれば、カルシウムと結びついて吸収が抑えられます。
就寝前の飲食は避ける
夜遅くの飲食は就寝中に尿中の結石の原因物質が増える要因になります。このため夕食は就寝の4時間前までに済ませ、老廃物をしっかり排尿してから眠るようにしましょう。
これらのことを守るだけでも、結石の再発を防ぐための一助になるはずです。

いしい腎泌尿器科クリニック 院長
石井 達矢(いしい たつや)
1999年(平成11年)山形大学医学部卒業。山形大学附属病院、山形市立病院済生館、公立置賜総合病院勤務などを経て、2020年5月いしい腎泌尿器科クリニックを開業。医学博士。日本泌尿器科学会認定専門医。日本医師会認定産業医。
