おしりの話~痔核~
肛門で最も多い疾患は「痔核」、いわゆる「いぼ痔」です。
排便時いきみ過ぎると
痔核は排便時のいきみや、繰り返す便秘や下痢など肛門に負担がかかると発症しやすく、野菜の摂取不足も原因とされています。肛門の内側(直腸側)にできたものを内痔核、外側(皮膚側)にできたものを外痔核といいます。
内痔核の症状は、出血、脱出、腫脹(しゅちょう・血液が増加して膨らむこと)などですが、痛みはあまりありません。外痔核の症状は(血痛みで、血のかたまり栓)が大きくなると激しく痛むことがあります。
保存的療法と手術療法
治療は保存的療法と手術療法に分けられます。保存的療法は生活習慣の改善と薬物療法です。
排便時のいきみや長時間の排便をさけ、便意があれば我慢せずに短時間で済ませることが大事です。過度な飲酒を控えることや入浴なども効果があります。
薬物療法には軟膏(なんこう)や坐剤(ざざい)などの外用薬と内服薬があり、炎症や痛み、出血を抑える成分などが配合されています。
主な手術は2式
手術療法で一般的なのは結紮(けっさつ)切除術とALTA療法です。結紮切除術は痔核に入ってくる血管を縛り、痔核を切除します。医療機関によって異なりますが、4~7日間の入院が必要です。
ALTA療法は肛門から内痔核に直接注射をし薬液を注入し、痔核を硬化・萎縮(いしゅく)させ、直腸内に固定させる方法です。痛みが少ないこと、日帰りを含め入院が短く済むこと、切除術より費用が安いことが特徴です。
膨らみが気になったら

最後に排便しやすい姿勢をお教えします。便器に座ったらかかとを上げて前かがみになってくだ
さい。ロダンの「考える人」のポーズですね。腹圧が高まり、直腸と肛門の角度が広がるため、便がスムーズに排出されます。ぜひ試してみてください。

山形済生病院 副院長
磯部 秀樹(いそべ・ひでき)
1989年山形大学医学部卒業。山形大学医学部付属病院、県立河北病院などを経て13年4月に山形済生病院の外科診療副部長となる。日本外科学会・日本消化器外科学会の指導医・専門医、日本消化器外科学会消化器がん治療認定医、日本臨床肛門病学会臨床肛門病認定医。
