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妊活中の飲料摂取

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 母親の飲酒が胎児(たいじ)に悪影響を及ぼすことはよく知られていますが、父親においても同様なことが言えるようです。

飲酒は妊活にマイナス?

 中国・中南大の研究チームが2020年、先天性心疾患(しんしっかん)を有する約4万人と有さない約30万人を含む55の研究をメタ解析した結果、妊娠前後3カ月間に飲酒した父親の子どもは、飲酒しない父親の子どもと比べ先天性心疾患リスクが44%上回っていました。

 また父親のアルコール摂取が375グラムを超えると、子どもの先天性心疾患のリスクは47%増加しました。

ハーバード大も調査

 米・ハーバード大の研究チームは25年、不妊治療中の343人の男性を対象に妊娠前の飲料摂取量と精液の質との関連を調べ、生殖補助医療を受けた296人男性とそのパートナーの女性を対象に飲料摂取量と生殖補助医療の結果との関連を調べました。

 その結果、カフェイン入り飲料、アルコール入り飲料、砂糖入り飲料、人工甘味料入り飲料の摂取は、精液の質や、生殖補助医療を受けたカップルにおける受精、着床、臨床的妊娠、生児出生との関連は認められませんでした。

カフェインは悪影響?

 特定の種類の飲料について検討したところ、体外受精を受けているカップルではカフェイン入りのコーヒーや紅茶、ワインや蒸留酒などの摂取量が多い男性ほど生児出生確率が低下しました。

 ただ驚いたことに、ビールでは摂取量が多いほど生児出生確率が高くなりました。

ビールは好影響!

 不妊治療中の男性は、コーヒーや紅茶などの摂取に注意を払う必要がある一方、ビールは気にせず摂取してもいいようです。

山形徳洲会病院院長

笹川 五十次(ささがわ いそじ)

1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医。

山形徳洲会病院

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