ピロリ菌検査
胃がんの原因の大半はピロリ菌への感染です。ピロリ菌を除去(除菌)すれば胃がんの発生を抑制できるため、除菌が浸透してきたことで全国的には胃がんにかかる人はは極端に減っています。
県内、浸透には至らず
ただ、県内では除菌の浸透度がいまひとつなのが気がかりです。
2023年度に山形市が実施している住民検診で、胃がん検診を受けた方は約1万3000人。このうち胃がんと診断された人は16人で、進行がんが4人、早期がんが12人でした。
そして除菌を受けたことがある人は5人、受けていない人が7人、未記入が4人でした。この結果を見る限り、除菌という概念が必ずしも徹底されていない現状が読み取れます。除菌していれば胃がんにならなくて済んだ人もいたはずです。
感染していれば誰でも
ピロリ菌に感染しているかどうかは「胃がんリスク層別化検査」を行えば簡単に分かります。一般に、60代以上の人は8割以上がピロリ菌に感染しているか、感染した既往があります。
除菌は当初は対象が限定されていましたが、現在ではピロリ菌に感染している人なら誰でも行えるようになっています。

「精査不要」とは?
バリウム検査でピロリ菌の感染が疑われた場合、「慢性胃炎(精査不要)」と判定されます。分かりにくい表記ですが、欄外には「ピロリ菌がいる可能性があります。かかりつけ医に相談しましょう」と記載されています。
これは「一度胃カメラを受けて必要なら除菌を受けてください」という意味ですが、そこまで誘導することを問題視する人がいらっしゃるからのようです。
かかりつけ医に相談を
ともかく、ピロリ菌に感染しているかどうかを確認することが大切です。不明なところは文字通り、かかりつけ医に相談してみましょう。

きくち内科医院 院長
菊地 義文(きくち よしふみ)
1985年(昭和60年)東北大学医学部卒業。同大医学部第三内科を経て96年に山形市立病院済生館へ。2013年4月に「きくち内科医院」開院。
