医学のうんちく/LOH症候群と胃食道逆流症

2021年9月24日
 加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群は、加齢による男性ホルモンの低下に伴う諸症状の総称で、男性更年期障害のひとつです。

多岐に渡るLOHの症状

 LOH症候群の症状は、性欲低下、勃起障害などの性機能関連に顕著に現れます。また発汗、ほてり、睡眠障害、記憶力・集中力の低下、筋力の低下、体毛・皮膚の変化、内臓脂肪増加など身体的なものや、イライラ、不安など精神的なものまで多岐に渡ります。
 診断としては、血液中の遊離テストステロン(FT)値を測定し、低値なら同症候群と確定できます。ただ症状が多様なため、FT値を測定する対象に苦慮することがしばしばです。

医学のうんちく/LOH症候群と胃食道逆流症

岡山大の調査では

 岡山大の研究チームが205人の成人男性を対象にFT値を測定したところ、119人(58%)が低値で、症状は全身倦怠感、体重減少などの全身症状45%、精神症状24%、性機能症状13%、消化器症状5%でした。
 うつ病自己評価尺度やLOH症候群症状スコアはFT値との相関は認められませんでしたが、胃酸が食道に逆流することにより胸やけやもたれなどの不快感を胃食道逆流症(GERD)の症状頻スケールスコアはFT値の低下とともに明らかに上昇していました。

胃食道逆流症の原因にも

 肥満の場合、胃周囲の脂肪組織が胃を圧迫することで下部食道括約筋が弛緩し、GERDを増悪することがあります。またサイトカイン誘発の炎症の関与も考えられています。
 テストステロンは除脂肪作用や抗炎症作用を有するとされ、低下によりGERDを発症しやすくなるのではないかと考えられています。

今後は診断の一助に

 GERDはLOH症候群の一般的な症状とは認識されていませんでしたが、今後は診断の一助になるかもしれません。


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医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。