《セピア色の風景帖》第154回 尾嶋橋(南陽市)

2021年8月13日
 南陽市を流れる吉野川にかかる尾嶋橋は昭和5年建造の古橋である。
《セピア色の風景帖》第154回 尾嶋橋(南陽市)

 昭和初期の橋らしく、装飾の施された親柱が存在感を示す。今では狭小かと思われる5メートル程度の幅も当時は当たり前のことで、地域産業であった鉱業・林業関係の多数の大きな車両がそれぞれ荷を満載して激しく行き交っていたという。
 後年、歩行者のために歩道橋が追加されたが、それ以前は歩行者が橋を通過する際は生きた心地がしなかったであろう。
 親柱とともに一部欠損はあるものの、陶製の銘標も4つすべてが現存し、それぞれ竣工年月、河川名、橋名(漢字)、同(かな)を現在に伝えている。

《セピア色の風景帖》第154回 尾嶋橋(南陽市)

 建造後90年超のこの橋が未だに現役として残されているのは付近にバイパス道が開通し、尾嶋橋の負担が大きく減少したためでもある。
 重量車が通ることも少なくなり、この風格のある橋の寿命はもう少し延びることになるだろう。(F)