<荒井幸博のシネマつれづれ> ジェントルメン

2021年5月14日
快作クライムアクション

 大麻業界の大物ミッキー・ピアソンは、貧困家庭の出身ながら頭脳明晰で奨学金を得てオックスフォード大学に進学した経歴の持ち主。在学中に非合法の大麻ビジネスを始め、やがてロンドンの暗黒街で総資産500億円に相当する巨万の富を築きあげる。
 そんなミッキーが大麻ビジネスのすべてを売却し、美しい妻と安らかな人生を送ろうとしているという噂が広がったことから繰り広げられるクライムアクション。

<荒井幸博のシネマつれづれ> ジェントルメン

 ミッキーはユダヤ系アメリカ人富豪に売却しようとするが、莫大な利権を巡りタブロイド紙編集長、ゲスな私立探偵、新世代チャイニーズ・マフィア、ロシアン・マフィア、下町のチーマー、そして強欲なユダヤ人富豪など、紳士の顔をした悪党たち(ジェントルメン)がダーティでスリリングな跡目争いをヒートアップさせていく。

 監督は、ロンドンの不良とギャングの抗争を描いた「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ」(1998)で鮮烈なデビューを飾ったガイ・リッチー。
 近年は「シャーロック・ホームズ」2部作やディズニー「アラジン」などメジャー大作が続いていたが、久しぶりに原点回帰ともいえるクライムアクションに立ち返り、騙し騙されの駆け引きと、衝撃アクションの連続で楽しませてくれる。

 ミッキー役は「ダラス・バイヤーズクラブ」で実在したエイズ患者を凄絶に演じてオスカーを獲得したマシュー・マコノヒ―。品格と凄みを醸し出す主人公をお洒落に演じている。
 彼は今月14日公開の「ビーチ・バム まじめに不真面目」では長髪の放蕩三昧の詩人という対照的な役を演じており、こちらもおススメ。

 他にゲスな探偵役のヒュー・グラント、ミッキーの腹心役のチャーリー・ハナム、チーマーの指導者役コリン・ファレルなどクセものぞろい。
 アクションと共に彼らの会話がJAZZセッションのようにスウィングして楽しませてくれる。


<荒井幸博のシネマつれづれ> ジェントルメン
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマパーソナリティーとして多くのメディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。現在FM山形で「荒井幸博のシネマアライヴ」(木曜12時)を担当。