全国伝統建具技術保存会 理事長・石山建具製作所 会長 石山孝次郎さん

2020年11月27日
石山孝次郎(いしやま・こうじろう) 1952年(昭和27年)山形市高瀬地区生まれ。実家は製炭業で、男7人兄弟の5番目。中学3年の時に父親と死別、卒業後に地元の建具店に弟子入りし、6年後の74年に独立。一般住宅などの建具を手がけるかたわら、松島の瑞巌寺や京都の西本願寺などの補修工事にも携わる。卓抜した技能から2000年に全国建具展示会で内閣総理大臣賞に輝き、05年に「現代の名工」にも選ばれた。13年に黄綬褒章受章。18年から全国伝統建具技術保存会理事長を務める。68歳。
全国伝統建具技術保存会 理事長・石山建具製作所 会長 石山孝次郎さん

嬉しいユネスコ文化遺産登録
  後継者不足解消に期待したい

――日本の「伝統建築工匠の技」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されることになりました!

労多く儲からない仕事

 「登録されるのは歴史的木造建築の修復に欠かせない17分野の技術。そのうちのひとつが扉や窓などを対象とする『建具製作』で、その技を守るために全国の建具職人で2002年に設立したのが『全国伝統建具技術保存会』なのよ」
 「文化財の修復には、当時の技法や素材を忠実に再現するほんものの技術力が必要だけんど、その道のりは険しくって、しかも儲からない(苦笑)。そんなこともあっっから、設立当初は約100社だった会員は今では50社ぐらいだ」
 「後継者不足は深刻。うちに入ってくるのも長くて1年、大半が1~2カ月で辞めちゃって、鳶(とび)とか、塗装とかに流れてくの。今は俺と3人の職人の4人だけで回してるったな」
――それだけに…。
 「今回のユネスコの決定に業界は歓喜の嵐。職人っていうのはホラ、死ぬまで現場で働いて、腕を磨いていく繰り返しで、そういう地味で地道な努力が評価されたっていうのは素直に嬉しい」
 「これまで以上に生半可な仕事はできないっていうプレッシャーはあるべけんど、これをきっかけにこの仕事に注目が集まり、若い職人が増えてくれればと思うよね」

周囲が認める「人望」

――周りの人にうかがうと、大らかな人柄で、面倒見がよく、人望がある方だと。
 「いやいや。ただ保存会の理事長のほかに、いろんな団体の役員はさせられてるよね」
――黄綬褒章の上ってのはないんですか?
 「職人関係はほとんど黄綬褒章で終わってるみたいだ。旭日小綬章ってのもあるけど、あれは何か特別なことやらないと。でも、これまでにもらえる賞はたいがいもらった。県知事賞とかも」
――この先、「県民栄誉賞」とか。
 「あれはレベルが違いすぎるったな(笑)」
――ご趣味とかは?

昔はゴルフ、夜の街も

 「仕事で全国を飛び回るようになってやめたけど、昔はゴルフもやってたべなあ。若いころは酒もよく飲んだ。花小路とか小姓町とか」
――小姓町といえばソシュウが有名でしたね。
 「行ってた。『赤坂』とか『スワン』とかも」
――モテてたんじゃないんですか?(笑)
 「いやいや(苦笑)」

生まれ変わっても

――生まれ変わってもこの仕事を?
 「多分なあ。ただ建具職人じゃなく、宮大工になってるかもな(笑)」