珈琲千夜一夜/(1)その起源は

2020年8月14日
 私たちの毎日の生活に欠かせない存在になっているコーヒー。その起源には諸説ありますが、有力視されている2つをご紹介しましょう。
珈琲千夜一夜/(1)その起源は

 私たちの毎日の生活に欠かせない存在になっているコーヒー。その起源には諸説ありますが、有力視されている2つをご紹介しましょう。
     
 そのひとつ。9世紀ごろ、現在のエチオピアにヤギ飼いがいて、ある時、ヤギがとある木の実を食べた時だけ騒がしくなることに気づきます。
 不思議に思ったヤギ飼いが修道院の院長にこのことを伝えると、興味を持った院長は試みに自分も食べてみようと思い立ちました。さすがに生では食べられず、茹でて飲んでみたところ、果たして気分がすぐれ、興奮状態に陥りました。

 この魔法のような現象に驚き、修道僧たちに飲ませてみることに。すると、普段は儀式中に居眠りするのが常だった彼らが、眠らずに仕事に没頭するではありませんか。
 このことが噂で広まり、「眠らない修道院」として有名になると同時に、この木が「魔法の木」として喧伝されるように。その木の実(コーヒー豆)を求めて人々が殺到し、一大ブームを巻き起こしたとか。

 もうひとつの話の舞台は15世紀、アラビア半島の南端に位置するイエメンの都市アデン。ある聖者が体調を崩した際、以前に旅行したエチオピアで知ったコーヒーの効能を思い出します。
 当時のアデンにはコーヒーはなく、エチオピアからわざわざ取り寄せてコーヒーを飲んでみると、体調が回復しただけでなく、眠気が覚めることにも気づきました。
 
 聖者はそのことを周囲に広め、やがて眠気覚ましの〝特効薬”として職人や旅人の間でコーヒーが広がっていったというのです。

 このあたりの事情を歌って世界的にヒットした楽曲に1958年の「コーヒールンバ」というのがあります。日本では関口宏さんの奥様、西田佐知子さんが歌う「昔アラブの偉いお坊さんが、恋を忘れたあわれな男に♪」というフレーズが知られていますよね。


珈琲千夜一夜/(1)その起源は

J.C.Q.A認定珈琲インストラクター1級
SCAJコーヒーマイスター
赤塚 宏之