《追想録》 アイジー工業名誉会長 石川 堯さん

2016年10月14日
 10月9日、アイジー工業(東根市)名誉会長の石川堯氏(いしかわ・たかし)が肺がんで亡くなった。享年88歳。
《追想録》 アイジー工業名誉会長 石川 堯さん
昭和4年に東根市で生まれ、村山農業高校卒業後、県農林部林務課へ。3年後に退職、石川瓦工業を設立して社長に。その後、石川技建工業、アイジー工業へと改組、金属系外壁材を主力に一代で100億円企業に育て上げた。
 この間、新技術を次々に開発し「東北の特許王」の異名を取るほか、科学技術長官賞、内閣総理大臣表彰など多数の受賞に輝く。
 石川さんは初めてお会いした時からなぜかボクを気に入ってくれて、以前に勤めていた職場にも、やまコミの事務所にも、トレードマークの寝癖をつけた髪で足繁く訪ねてきてくれた。
 話す内容はほぼ同じ。若かりしころの艶話、前立腺がんを患った70歳の時の懊悩、横行する特許訴訟への悲憤慷慨…。
《追想録》 アイジー工業名誉会長 石川 堯さん
好々爺の風韻を漂わせながらも時局を見る眼は鋭さを失わなかった。極めつけは4選を目指す現職に新人が挑んだ2005年の山形県知事選。大方の予想を覆す新人の当選を見事に言い当てた。
 当時「日本経済新聞だけが何故か当確を予見していた」なんてはやされたけど、何のことはない、政治オンチのボクは石川さんの受け売りをしていただけだった。 
 最後に会ったのは今の事務所が出来る直前の4月。「外壁は(アイジー工業製の)ガルスパンなんですよ」と言うと「そうか、そうか」と相好を崩してくれた。
 山形でお世話になった人は数知れず。そんな中でボクが1番好きだった人は石川さんだった。
(本紙編集人・吉村哲郎)