《セピア色の風景帖》 第六十六回 映画看板

2013年12月13日
 かつては街のいたるところで目にしたが、今は全く見られなくなってしまったものに映画の宣伝看板がある。
《セピア色の風景帖》 第六十六回 映画看板

 ちょっとした商店の壁面や角地には、様々な映画の象徴的な場面がハッと息を飲むような色使いで並んでいたものである。
 ひとつの映画を1枚の画像で表し、そのインパクトで観客を呼び込む役割を課せられているわけであるから、それぞれアイディアを駆使した眼を惹くデザインの競演であった。当時多かった地味な板塀には特に映えた。

 現代のコマーシャルなどは「詳しくはWebで」などと手抜きも甚だしいが、かつての映画の宣伝には街角のポスターの他にも街宣車が路地をこまめに回るなど、手が尽くされていた。

《セピア色の風景帖》 第六十六回 映画看板
 さらに時代をさかのぼれば、胴体の前と後の両面に宣伝用の看板を取り付けて街を練り歩く「サンドウィッチマン」が活躍していた。今の若者に「サンドウィッチマンとは?」と尋ねても、おそらく違う答えが返ってくるのだろうが…。
 そして映画館前には手描きの大看板。微妙に役者に似ていないのもまたご愛嬌であった。(F)