《セピア色の風景帖》 第五十九回 成人映画館

2013年3月22日
 大小の映画館が割拠し、世界的にも有名になった国際ドキュメンタリー映画祭が開催されるなどで山形市は「映画の街」と呼ばれた時期があった。各映画館の案内地図が作成され、映画祭開催時にはその地図を頼りに各映画館を行き来する人の列も見られた。
《セピア色の風景帖》 第五十九回 成人映画館

 だが、そんな映画館とは一線を画す映画館もあった。おおっぴらに語られることの無かった、いわゆる成人映画館である。この種の映画館は大々的に宣伝されることもなく、街裏の目立たない場所でひっそりと営業していたが、根強いファンに支えられていたのも紛(まご)うことなき事実である。

 男子高校生の間では、もちろん制服を着ない状態ではあるが、成人のフリをして入館できるかどうかが度胸試しのようになっていた時代があった。今から考えればモギリの人には多分バレていたのだろうが、無事に入館できた輩は手柄のように自慢していたものだ。

《セピア色の風景帖》 第五十九回 成人映画館

 その後、ビデオなどの普及によりこの種の映画館は全国的に衰微していった。どこかしら甘酸っぱい思い出が漂う成人映画館、人によってはこの存在もまた青春の1ページに刻まれていることだろう。(F)