<荒井幸博のシネマつれづれ> マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」

2012年3月9日
3Dファンタジー映画

 1930年代のパリ。時計職人で博物館の所蔵品の修繕をしていた父を亡くし、孤児になった少年ヒューゴ・カブレはパリの駅の大時計のネジ巻きの役割を果たしながら時計台に隠れ住んでいた。

<荒井幸博のシネマつれづれ> マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」

30年代のパリを舞台に

 彼の唯一の友だちは父が亡くなる直前まで修理していた壊れたままの機械人形。父が残したノートを参考に修理を試みるが、ハート型の鍵がなければその人形を動かすことができない。ある日、ヒューゴは駅構内の玩具屋で盗みを働こうとして店主に捕まってしまう。店主はヒューゴの大切な宝物、父の残したノートまで取り上げるが、それを読んだ店主の顔色が見る見る変わっていく――。
 
監督は名匠スコセッシ

 名匠マーティン・スコセッシ監督が長年の念願だったという3Dに挑んだ。駅構内や大時計内部での追跡劇、そして人間の動きのダイナミズムを表現するのに3Dが大きな効果を生んでいる。
 スコセッシといえば「タクシードライバー」「レイジング・ブル」などデ・ニーロと組んだ男臭い映画のイメージが強かったのだが、本作は世界初の商業映画監督であるジョルジュ・メリエスを少年の目を通して描いた物語でもある。
 
溢れる映画への愛情

 よってメリエスの「月世界旅行」(1902)の撮影風景のほか、「ラ・シオタ駅への列車の到着」(1895)や「ロイドの要心無用」(1923)、チャップリンの作品ポスターなど懐かしいサイレント映画の映像が随所に登場、まるで映画黎明期にタイムスリップしたような気分にさせられる。

オスカー5部門受賞

 単なるファンタジーではなく、映画への愛に満ち溢れた作品。先ごろ発表になった第84回アカデミー賞で、撮影賞、美術賞など5部門を受賞したのもうなずける。


<荒井幸博のシネマつれづれ> マーティン・スコセッシ監督「ヒューゴの不思議な発明」
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。