《おしえて!編集長》 芸工大問題 県民・市民の声どう反映?

2011年9月9日
 やまコミ7月22日号で最初に取り上げた東北芸術工科大学と京都造形芸術大学の統合計画への疑問。この問題提起に対する県民、市民の反響はものすごくて、統合を計画している両校はもちろん、県や市は対応に追われているようです。火付け役になってしまったやまコミも大童(おおわら)で…。
《おしえて!編集長》 芸工大問題 県民・市民の声どう反映?

大変なことになってきましたね。
  
 統合、認可待ちの状態

 「そうだね。ここまでの経緯を簡単に振り返れば、東北芸術工科大学を運営する学校法人の東北芸術工科大学と京都造形芸術大学を運営する瓜生山学園が統合協議に入ると発表したのが6月16日。対外的にはここがスタートになった」
 「その後、7月21日に芸工大、7月25日に瓜生山がそれぞれ理事会を開いて統合を決定、8月9日に所管の文部科学省に統合を申請した。あとは認可が下りるのを待つだけという状況だった」
 
そうでしたね。
 
 県民市民の理解は?
 
 「通常なら認可は3~4カ月で下りるんだ。実のところ当初は文科省も今回の統合には前向きで、俺が入手した内部文書によると両大学の関係者に『7月に申請すれば10月に認可する』というお墨付きを与えていたんだ」
 「もっとも、そこではいくつかの条件もつけていて、その中の一つに『県民市民の理解』を挙げてる。今の状況はまさに統合が県民市民の理解を得られるかどうかという局面なわけだ」

県民や市民の理解を得るってどうやって計ればいいんでしょうか?

《おしえて!編集長》 芸工大問題 県民・市民の声どう反映?

 県議会、市長選…。

 「それって難しいところだけど、8月26日に衆議院文部科学委員会というのが開かれて、地元選出の遠藤利明議員(自民)が統合に反対する立場から文科省の姿勢を正してる。その中で遠藤議員は『県議会の同意がないと認可すべきじゃない』みたいなことを文科省に迫ってる」
 「あと山形市長選が近づいてるよね。現職の市川昭男氏は経営基盤の安定という大学側の統合理由に理解を示しているのに対し、新人の佐藤孝弘氏と長岡寿一氏は統合に反対する立場だ。芸工大問題が選挙戦の争点になるのは間違いない」
 
不偏不党のやまコミ

 「そんなこと言っといてなんだけど、俺とかやまコミが特定の政党とか特定の候補者に肩入れしているわけでは決してなくて、『統合はおかしいんじゃない?』って問題提起しているだけなんだけどね」

やまコミに来る手紙やメールはほとんどが統合に反対する内容です。
 
 大半の読者「反対」

 「大半が『乗っ取りじゃないか』という内容だよね。これまでの芸工大の歩みを見るとそうとられても仕方がない面がある。まず瓜生山の徳山詳直理事長が芸工大の理事長を兼ねるようになり、瓜生山の理事がだんだん増えていった」
 「一方で県と市が派遣していた理事のイスは2003年末でなくなった。山形出身の理事もいるにはいるが、今回の統合に1人として意義を唱えなかったように全員が徳山理事長のイエスマンとされる」
 「そんな理事会で芸工大を消滅法人、瓜生山を存続法人にする統合を決めた。統合後は山形出身と京都出身の理事数を同じにするらしいけど、イエスマンなら意味がない」

これからどうなりますか?

 説明に追われる芸工大

 「さっきも言ったように県議会や山形市長選の動向が注目されるほか、文科省や県は芸工大側にもっと県民市民に説明を尽くすよう求めてる」
 「余談だけど、こうした要請を受けて芸工大が9月3日に卒業生の代表者8人を呼んで説明会を開いたんだって。8人の中で統合に賛成したのは1人もいなくて、全員が疑問や反対の意見をぶつけたらしい」
 
 しっかりしろマスコミ

 「説明不足を責められると、芸工大側はこんなことを言ったらしい。6月16日に理事長、副理事長、学長も出席して統合協議に入ると発表した時、集まった新聞社やテレビ局の記者から目立ったリアクションがなかったんだって」
 「だから大した問題にはならないと判断し、特に説明努力をしなかったっていうんだな。それが今や大変な問題になってるわけだ。しっかりしろよ、マスコミ」


芸工大を守って!

東北芸術工科大学卒業生 A・Nさん

 拝啓 「やまコミ」いつも拝見させて頂いております。号を重ねるごとに内容にも厚みが増し、以前よりも楽しく、そして地域性の強いフリーペーパーであると感じるようになりました。
 さて、今話題となっています「芸工大問題」。私も芸工大を卒業した一学生でしたので、知った時はショックを隠しきれませんでした。もちろん今も信じられない気持ちでいっぱいです。
 名誉教授である早坂さんの「芸工大は山形の財産のひとつ」という言葉、まさにその通りだと思います。あれほど地域と密着し育まれた大学は他にはありません。施設だけでなく、立地、周りの環境、シンボル性…。何をとっても素晴らしいとしか言いようがない、そんな地域の学校をなぜ統合しようなどとお考えになるのでしょうか。
 私は他県出身の者なので初めて山形に訪れてこの大学に出会った時、「山形って良いところだ」と瞬間的に思いました。生徒が学問を学ぶ場所というだけでなく、いつも地域の人がくつろいでいる、そんな大きな家ともいえる芸工大。
 休みの日でも散歩に訪れたことがありました。落ち込んだ時など、山形の街が一望できるあの場所へ足を運びました。その度に山形の温かさや美しさ、包み込まれるような雄大さに励まされました。芸工大は山形県と深くリンクしている。人と人、地域と住人を繋いでいる。他県出身だからこそ、その深く強い絆をダイレクトに感じます。
 第二の故郷の山形で多くのことを教えてくれた芸工大。どうかこの地域の宝を育み続けて下さい。
 長文失礼致しました。御社の今後の発展と更なる向上をお祈り申し上げます。