<提言> 今、山形は何をすべきか

2011年3月25日
 今回の大地震は東日本各地に大きな爪痕を残した。山形は幸いに大地震の被害は少なく、電気、水道、ガスなどのライフラインもほぼ翌日には回復した。

建設・製造業に暗雲

 だが県内経済は深刻な危機に見舞われている。まず建設業。国交省は被災地復興を最優先させており、県内の公共工事はストップしたまま再開のメドが立っていない。来年度からの公共工事の予算確保にも影響が出かねない情勢だ。
 製造業では設備面で大きな被害は報告されていないが、燃料不足や輸送ルートの混乱などで機能せず、部品の調達や製品の販売に支障が生じている。加えて急激な円高の進行で国内でのモノづくりは競争力を失い、県内でも工場閉鎖や海外移転などが増えるだろう。
 
風評被害で観光業も

 サービス業への影響も深刻だ。山形市内のあるホテルでは地震後の3日間で3月中の祭事(結婚式、謝恩会など)がすべて中止になり、金額にして6000万円分の予約が消えたという。
 また海外メディアの原発事故への反応は素早く、東北全体の風評被害から海外観光客のキャンセルは後を絶たず、いつ沈静化するのか予想もつかないほどだ。
 
「東北州」の発想を  

 今回と同様、山形は過去に震災で甚大な被害を受けた経験が少ないとされる。仮にそうだとしても、こと実態経済に関しては他の地域と密接に連携しているのだ。野菜ひとつをとっても種子は宮城から、肥料は岩手から、販売先は福島のスーパーといった具合だ。
 山形はいわば「東北州」の一員。確かに直接的な被害は少なかったが、輸送ルートの混乱や原発事故の風評被害は当面続くと予想される。今回の災害は決して「対岸の火事」ではないのだ。
 
取り残されないためには

 「安全」「安心」を強調することも必要だが、それは“別世界”の裏返しでもあり、これから大事なのは東北州の連携から取り残されてはならないということではないか。今後10年、被災県は国家事業として急速に変貌を遂げるだろう。山形もこの流れに乗らないとそれこそ孤立してしまう。今こそ政治が求められていると私は思う。(山形市出身)


<提言> 今、山形は何をすべきか
帝国データバンク 山形支店長
鈴木 盛夫