<荒井幸博のシネマつれづれ> 僕と妻の1778の物語
おもひでぽろぽろ
草なぎ剛、今井美樹…
作家の朔太郎と妻の節子は仲睦まじい夫婦。ある日、節子が腹痛で入院したところ「大腸がんで余命は1年」「ただ、笑うことでがんへの免疫力は高められる」と医師から告げられる。
節子を笑わすため毎日1編の笑える短編小説を書き始める朔太郎。その甲斐あって節子は余命といわれた1年を生き抜いていく——。
実話ベースの「僕と」
過酷な闘病生活を続けながらも深い愛情で朔太郎を包み込む節子役の竹内結子が好演。日ごろから夢見がちでマイペース、思い込んだら一直線という朔太郎役の草なぎ剛もハマっている。
この作品はSF作家の眉村卓にまつわる実話がベース。03年「僕の生きる道」を皮切りに06年まで続いた草なぎ主演のテレビドラマシリーズの最新作にして初の映画化。
山形で撮影「冬の」
草なぎは現在放送中のテレビドラマ「冬のサクラ」にも主演、山形で認知症の母を介護しながらガラス工芸品を作る青年を演じている。東京から“冬に咲くサクラ”を見るため一人旅をしていた今井美樹演じる人妻と知り合い、恋に落ちる。山形市村木沢の啓翁桜を栽培しているビニールハウス、銀山温泉、徳良湖などで撮影された。
注目される啓翁桜
撮影に当たっては映画「小川の辺」同様、山形フィルムコミッション事務局が現地コーディネーター的役割を果たすなど大きく貢献。今、様々な方面で注目度が増している山形だが、このドラマをきっかけに「啓翁桜」の人気が高まってくれたら嬉しい。
今井美樹が里帰り
今井美樹は1991年公開のスタジオジブリ作品「おもひでぽろぽろ」では東京から山形市高瀬にやってくるヒロインたえ子の声を担当してくれていた。それを思い出し、20年ぶりに里帰りしてくれたような感慨を勝手に抱いてしまった。

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。