出羽桜酒造 社長 仲野 益美 氏

2010年12月24日
仲野 益美(なかの・ますみ) 1964年(昭和36年)天童市生まれ。84年に東京農大農学部醸造学科を卒業後、旧国税庁醸造試験場、東京の酒類卸会社を経て87年に家業の出羽桜酒造へ。取締役、専務を経て父親の急逝に伴い2000年に39歳で社長就任。山形県酒造組合技術委員長、日本吟醸酒協会理事長、東京農大客員教授、東京大学非常勤講師、山形県行政支出点検・行政改革推進委員会委員なども務める。49歳。
出羽桜酒造 社長 仲野 益美 氏

輸出と吟醸酒の質向上に力
   山形の酒を内外に訴えたい——

——年末号でトリを飾ってもらおうと(笑)
 「ぼくなんかでいいんですか?」
 
アルコール離れで苦戦

——初めて会った8年前、若いのに理論家で実にしっかりした社長さんだと瞠目(どうもく)いたしました。
 「社長になってホヤホヤの時分ですね。父から引き継いだ時の生産量が8千石(注・1石=約180リットル)、その後1万石まで伸ばしましたが、ワインや焼酎なんかに押されて今は社長就任時と同じぐらいですね」
——県内トップの出羽桜がそうだとすると業界全体ではさぞや…。
 「苦戦してます。だいたいが若者がアルコール飲まないですもん。うちでも全国から大学生を研修で受け入れてますが、彼らってビールすらあまり口にしない」
 「我々が若い時は違ったじゃないですか。それぞれが修行して自分にあったアルコールの種類や適量を体感していった。だから彼らには『それじゃあ人生語れないんじゃないの?』って言ってるんですけどね(苦笑)」
——それはキリンビールの山形支社長も嘆いていて「とりあえずビール」っていうのが今はないんだって。

輸出に活路を

 「国内がそうだとすると必然的に海外に活路を求めざるを得ない。いま国内全体だと輸出比率は1%ぐらいですが、うちは5%ほど。県内で本格的に輸出に取り組んださきがけで、量もですが日本酒や日本文化の奥深さを世界に伝えたい」
——出羽桜って吟醸酒が有名で、きらやか銀行の頭取が遊びに来てくれる時はいつも「雪漫々(ゆきまんまん)」持ってきてくれるの。
 
高品質の吟醸酒で定評

 「やっぱり吟醸酒が最高の技術の結晶ですから。全国的にはスタンダードのお酒と吟醸酒・純米酒の比率は7対3ですが、うちは逆。歴史的に吟醸酒に力を入れてきた結果です」
——2年前に「一路(いちろ)」が凄い賞もらったけど。
 「今年もいろいろ頂きました。純米酒大賞、全米鑑評会金賞、全国美酒鑑評会大賞…。もらいすぎで来年にとっておきたいぐらい(笑)」
 
酒造り一筋で

——その弁舌といい、貫録といい、政治家向きなんじゃないの?
 「青年会議所の理事長とかやっていたのでたまに取り沙汰されますが、酒造り一筋でいきます」
——なんか以前に比べて顔、ひと回り大きくなったんじゃない?
 「デカい面(つら)してるとは言われますね(笑)」