<荒井幸博のシネマつれづれ> 十三人の刺客

2010年8月27日
役所作品にハズレなし

 当代随一の実力派俳優、役所広司主演の「十三人の刺客」が9月25日から公開される。
 
県の誘致促進事業作品

 県の映画ロケ誘致促進事業の第1号に選ばれ庄内映画村で撮影した作品。役所は仲代達矢が主宰する「無名塾」の出身。デビュー以来30年間、俳優としてドラマ、映画、舞台の第一線で活躍しているが、特に無名塾を離れてからの直近の15年の活躍には目を見張るものがある。

<荒井幸博のシネマつれづれ> 十三人の刺客

受賞ラッシュの役所

 1995年公開の「KAMIKAZE TAXI」では毎日映画コンクール主演男優賞を受賞、96年には大ヒットした「Shall we  ダンス?」他2作で国内映画賞の主演男優賞を総ナメ。97年には主演した「うなぎ」がカンヌ国際映画祭パルムドール賞を獲得している。
 以後も役所主演作は国内外の映画祭で高い評価を受け続け、日本映画界を牽引(けんいん)する存在だ。
 
黒澤明作品のリメイク

 その役所が主演作に選んだ「十三人〜」は工藤栄一監督の1963年公開の同名作品リメイク。庄内映画村の宿場町のセットが大きな役割を果たし、見ごたえのある作品に仕上がっている。
 
稲垣吾郎が怪演

 島田新左衛門(役所)が率いる13人の暗殺部隊と暗殺の標的となる明石藩主の松平斉韶(なりつぐ)を守る数百の藩士との凄絶な殺陣が最大の見所。また冷酷非道で異常性格の斉韶を演じた稲垣吾郎の怪演にも注目。
 やはり役所の出演作にはハズレがない。その役所と秀作ドラマ「幽婚」で98年に共演した寺島しのぶがベルリン国際映画祭で最優秀主演女優賞を受賞した「キャタピラー」の舞台挨拶のために山形を訪問してくれた。

冷めない山形の映画熱

 猛暑の夏が終わっても山形の映画熱が冷めることはなさそうです。


<荒井幸博のシネマつれづれ> 十三人の刺客
荒井幸博(あらい・ゆきひろ)

1957年、山形市生まれ。シネマ・パーソナリティーとして数多くの地元メディアで活躍、映画ファンのすそ野拡大に奮闘中。