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真理子先生の女性のミカタ/子宮頸がん(1)

2022年5月13日
 年間3000人近くが亡くなる「子宮頸(けい)がん」は、20~30歳代の女性にも増えています。

子宮の出口で発症

 子宮頸がんは文字通り、子宮の出口にある子宮頸部にできるがんです。子宮頸部はとても柔らかくデリケート。特に女性ホルモンの多い年代は、子宮頸部の皮膚に炎症が生じる「子宮膣(ちつ)部びらん」という状態になることがあります。
 子宮膣部びらんが生じてしまうと、外敵から身体を守るバリア機能が弱まり、性交などにより性感染症リスクが高まってしまいます。

真理子先生の女性のミカタ/子宮頸がん(1)

原因はHPV感染

 性感染症には梅毒、淋病、性器クラミジア、性器ヘルペスなどがありますが、子宮頸がんの原因になるのがヒトパピローマウイルス(HPV)への感染です。
 ただHPV自体はごくありふれたウイルスで、性交渉の経験がある女性なら、一生に一度くらいは誰でも感染する可能性があるのです。

ゆっくり進行します

 HPVに感染してもウイルスが自然消滅する場合もありますが、長期間にわたり感染が続くと、子宮膣部の粘膜が「異形成」という変化を生じ、子宮頸がんに進行する恐れがあります。ただ異形成は子宮がん検診で見つけることができます。
 HPVに感染してから子宮頸がんに進行する期間は数年から数十年とされ、ゆっくり進行する病気だということをお忘れなく。

予防できるがんです

 ただ、子宮頸がんは実は、ほぼ防げるがんだということを御存知でしょうか。
 子宮頸がんにならないためには、性交時に最初から最後まで100%コンドームを使うのが一番ですが、一生涯の中では難しい場合もあるでしょう。次からは予防についてお話しします。


真理子先生の女性のミカタ/子宮頸がん(1)
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真理子レディースクリニック 院長
伊藤真理子
(いとう・まりこ) 1986年山形大学医学部卒業。山大病院、篠田病院を経て2005年6月に真理子レディースクリニックを開業。日本産婦人科学会認定産婦人科専門医。