ソアー(米沢市)社長 八巻 雅敏さん

有機ELと新事業が2本柱
高みを目指し米沢に恩返しを
――東北パイオニア米沢事業所といえば有機EL!
有機ELの米沢事業所
「電気が流れると自ら発光するのが有機ELで、バックライトが必要な液晶に比べ軽量化や小型化できるのが特長です。世界初の量産化に成功したのが1997年、ここ米沢事業所でした」
「有機ELはその後、韓国勢を中心に大型テレビ向けの〝アクティブ型〟に主戦場が移りますが、米沢事業所では〝パッシブ型〟に徹しウェアラブル端末など小型製品向けに強みを発揮してます」
――それが。
「米沢事業所は世界中にある東北パイオニアの一工場、東北パイオニアはパイオニアの100%子会社でしたが、パイオニアが2019年にファンドの傘下に入ったのはご案内の通りで」
「グループ内で事業再構築を模索した結果、東北パイオニアはスピーカーなどサウンドビジネスに特化し、米沢事業所は有機EL事業に磨きをかけるため、会社組織にして飛躍を目指そうということになったわけです」
――なるほど。
新会社、4月から始動
「社内公募で選んだ『ソアー』という社名は、〝高く上がる〟〝急上昇する〟を意味する英語の『SOAR』から。米沢事業所の土地と建物を引き継ぎ、社員160人、売上高50億円で4月から操業を始めました」
「ソアーにはもう一つ『ものづくりソリューション事業』という柱もあります。車載向けのカーオーディオ製品の設計・開発・量産化で培ったノウハウを活かし、顧客が求める製品開発にお力添えする設計・製造受託サービスがそれで」
「キーワードは『お客様の思いをカタチに』。部品を売るだけじゃなく、付加価値を高めたモジュールやユニットの形で供給していこうと」
製品は100%外販
――東北パイオニアの製品はほぼ全量パイオニアに納入するんでしょ?
「そうですね」
――ソアーの製品は?
「ほぼ100%をグループ外に納入してます」
――じゃあ、真に技術力が問われるわけで。
「車載オーディオや有機ELで世界と戦ってきた東北パイオニア、旧米沢事業所には最高レベルの技術の蓄積がある。この潜在能力を活かせれば道は開けるだろうと」
将来は百億円超に
「売上高は百億円超の高みを目指し、創業地の米沢で雇用も増やして『さすがソアーだね』と言われるような存在になりたいです」
――なんだか〝出藍の誉れ〟みたいな(苦笑)
「イメージカラーはブルー。みんながワクワクするようなものづくりに挑戦したいですね」