徹底して山形に密着したフリーペーパー

NPO法人 かみのやまランドバンク 理事長 渡邊 秀賢さん

2022年3月25日
渡邊 秀賢(わたなべ・ひでたか) 1975年(昭和50年)南陽市生まれ。長井高から明海大不動産学部(千葉県浦安市)に進み、98年卒業後、祖父が創業し父親が経営する不動産会社へ。2004年に山形第一不動産に改組する際に父親とともに共同代表、06年から代表取締役社長。社業のかたわら、空き家や空き地の利活用に取り組むNPO法人の設立に奔走、19年設立の「かみのやまランドバンク」理事長を務める。
NPO法人 かみのやまランドバンク 理事長 渡邊 秀賢さん

空き家問題は誰かがやらないと
  取り返しがつかなくなる前に

――かみのやまランドバンクって?

産学官でNPO法人

 「所有者が分からないまま放置されている空き家や空き地は全国で増えていて、人口減少や高齢化が進む上山では特に顕著です。だからといって私たち民間の不動産業者だけではどうしようもないし、市が制度だけつくっても機能しない」
 「そこで民間と行政が協力し、そのうえで全国で唯一、不動産学部がある母校の明海大も巻き込んで3年前に設立したのが産学官連携のNPO法人『かみのやまランドバンク』です」
――具体的な活動は?
 「基本的には、空き家や空き地の所有者からの依頼を受け、利活用方法を探ります。所有者は市外や県外にいるケースが多く、やり取りが大変ですが…。話し合いの中で空き家はリフォームしたり、解体したり」

土産物店、映画館を活用

 「これまでに取り組んだのは、JRかみのやま温泉駅前で2019年に閉店した土産物店を改装し、21年5月にそば&カフェ『harappa』としてオープンさせたのが第1弾。翌6月に手をつけたのが、温泉街の入り口で放置されていた旧映画館『トキワ館』で」
――旧トキワ館の所有者って確か…。
 「上山出身で『うる星やつら』や『平成ガメラ』3部作の脚本を手がけた脚本家の伊藤和典さん。現在は熱海にお住まいで、映画館は代々の家業だったとか。伊藤さんの了解のもと建物を解体し、跡地利用を現在検討中です」

過疎化に歯止めを

――でも、それだけ貢献しても実入りはほとんどないわけでしょ?
 「ないです(苦笑)。だからやり手がいない。でも放っておけば上山のような小さな地方都市はますます廃れて取り返しがつかなくなってしまう。地元で商売をする立場として、そんな事態は避けたいと」
――若いのに、偉い!
 「今、上山のまち中を歩いてる人なんてほぼゼロですよ(苦笑)。何十人とはいわないけど、せめて2~3人でもいいので観光客や若い世代が歩いてるようにしないと」
――別の計画も。
 「温泉街の真ん中にあり、20年から閉鎖中の共同浴場『澤の湯』のリノベーションを進めてます。立地条件はよくないけど、いろんなアイデアを取り入れ、市外からも人が訪れる観光施設を目指して5月には再オープンさせたいと」

お嫁さん募集中?

――次から次へと、行動力が凄いなあ。
 「昔から忙しく動き回っていないと気が済まない。そのせいか、いまだに独身で(苦笑)」