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医学のうんちく/性交死

2022年2月25日
 性交中や性交後に突然死亡するのが性交死です。日本では俗に〝腹上死〟などと言われ、性交中に女性の腹の上で絶命するという意味に誤用されているようです。

高齢者より中年層が!

 突然死のうち性交死の割合は国内では0.6~1.7%。圧倒的に男性が多く、その比率は82~93%。配偶者以外との性行為が約75%を占めますが、同様のことは欧米でも報告されています。
 意外なのは、高齢層より30~40代の中年層に多くみられることです。英セントジョーンズ大の研究チームが2022年、心臓突然死した6847人のうち性交死した17人を調べたところ、平均年齢は38歳でした。

医学のうんちく/性交死

原因を調べると

 元監察医の上野正彦博士によれば、死因は心筋梗塞など心血管系疾患が56%、脳出血など脳血管系疾患が43%。独ゲーテ大の研究チームは17年、心血管系88%、脳血管系12%と報告しています。
 前述のセントジョーンズ大の報告では、心臓のリズム異常による不整脈死症候群が53%、大動脈解離が12%でした。

多い心血管系疾患

 ここ数年は心血管系の占める割合が増加しています。脳血管系では性行為中に発症して死亡まで数時間ですが、心血管系では行為中の急死は少なく、行為から数時間たった就寝中に発症、死亡することが多いようです。
 ただ不整脈では性行為中または後から1時間以内に死に至ります。

刺激的行為は控えて

 挿入中に無呼吸で動き続けると低酸素状態になり、心臓や脳への負担が大きくなります。焦らず腹式呼吸しながら行為を繰り返すことで身体への負担は軽減されます。長い入浴や飲酒の後は脱水状態となり、負担がさらに大きくなるので要注意です。
 精神的な興奮もリスクを高めますので、不慣れな場所、不慣れな相手や刺激的な行為は控えることをお勧めします。


医学のうんちく/性交死
医学のうんちく/Y染色体のお話(中)
山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。