にしむら(山形市) 社長 西村さくらさん

黒子、縁の下の力持ちに徹し
地域の食文化に寄り添います
――「にしむら」って大企業なんですね。
年間売上高50億円!
「祖父が1977年(昭和52年)、米沢市で学校給食向けの食材製造会社から卸部門を独立させたのが始まりです。その後、食品全般と飲料に扱い品目を広げ、拠点も山形市、三川町、宮城県岩沼市に拡大、本社機能も山形市に移しました」
「おかげさまで4月で45周年を迎えます。コロナ禍以前の年間売上高は約50億円で、県内の食品卸ではナンバーワン。従業員は約100人です」
――ここに伺う前、紳士服屋さんかと(苦笑)
「それ、よく間違えられて(笑)。弊社では仕事の性質上、対外的なPRは一切していなくて、あくまで黒子、縁の下の力持ちに徹しようと」
――でも老舗が多い同業他社の中で、どちらかといえば新興でしょ?
県内3拠点が強み
「弊社の特徴は地域の食文化に徹底的に寄り添うところです。県内に3拠点を持っているのは弊社だけ。この強みをいかし、それぞれの地域特性にあった品ぞろえ、メニュー提案などで他社との差別化を図っています」
「例えば、ラーメンひとつとっても山形ラーメン、酒田ラーメン、米沢ラーメンがあって、スープも違えば麺や具も違う。それを一緒くたにして一つの倉庫に保管すればムダがでるし、営業でもロスが生じてしまう」
――ふ~ん。
「あとは『4つの屋』を大切にすること。4つの屋とは八百屋さん、肉屋さん、魚屋さん、酒屋さんで、皆さんのニーズに細かく対応して顧客サービスの向上につなげてもらえれば一緒に成長していけるだろうと」
――なるほどねえ。
自社ブランドも展開
「弊社の本業はあくまで卸ですが、小売業をサポートするため自社ブランド『ChuBo(チュボー)』も展開しています。中でもこだわりの冷凍ギョーザは多くのラーメン店で使っていただいていて、1カ月で10万食売れるヒット商品になってるんですよ」
――若いのに、実にしっかりしてるよなあ。
「2代目の突然の入院で父が3代目を継いだ時、準備不足で苦労したそうで、スムーズな事業継承のため父が58歳で会長に退き、長女の私が4代目に。3歳下の弟も弊社で働いています」
お父さんの慧眼?
――お父さんが実力会長として社内に君臨し、失礼ながらお飾りの社長さんかと思ったら…。
「父は会長就任と同時に沖縄に移住、今は悠々自適の生活(笑)。山形に来るのは月2回ほど」
――お父さん、君の社長としての資質を見抜いてたんだろうな。