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医学のうんちく/バイアグラと認知症予防

2022年1月28日
 勃起不全(ED)の治療として知られるバイアグラが、アルツハイマー病を予防できるのではないかと一部で注目されているのをご存知ですか?

発症を約7割抑制

 米クリーブランド・クリニックの研究チームは昨年、723万人の医療データをもとにバイアグラの服用者と非服用者を比較し、バイアグラとアルツハイマー病の発症との関係を調べました。
 その結果、バイアグラの服用者は非服用者に比べ、6年後にアルツハイマー病を発症する可能性が69%少ないことが判明しました。他の高血圧治療薬に比べても55%、血糖降下薬に比べ63%、血管拡張薬に比べ65%、それぞれアルツハイマー病の発病率を抑制することが分かりました。

医学のうんちく/バイアグラと認知症予防

脳の血流を改善か

 アルツハイマー病は脳内で産生されるアミロイドとタウという2種類のたんぱく質が関与していると考えられています。
 両者が脳内に蓄積するとアミロイド斑やリン酸化したタウたんぱくによる神経原線維変化が生じ、両者の相互作用がアルツハイマー病の発症や進行に重要であると考えられています。
 バイアグラには血管を弛緩させ、血流を改善する作用があります。その作用は脳にも及び、アルツハイマー病の特徴である異常なたんぱく質の脳への蓄積が抑制されるのではないかと考えられています。

脳細胞の成長も促す?

 さらに、同チームは幹細胞を用いてアルツハイマー病患者由来の脳細胞モデルを作製しました。
 このモデルを用いてバイアグラがタウたんぱくの過剰なリン酸化を抑制し、脳細胞の成長を促すように働く可能性を報告しています。

研究が続く

 同チームでは今回の結果を受けて現在、アルツハイマー病に対するバイアグラの臨床効果を確認する比較試験を計画しています。


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山形徳洲会病院院長
笹川 五十次
(ささがわ・いそじ)1982年 富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業、86年同大学大学院修了後、ハワイ州立大学医学部を経て、04年に山形徳洲会病院副院長、08年から現職。日本泌尿器科学会認定泌尿器科専門医、日本透析医学会認定透析専門医、日本腎臓学会認定腎臓専門医。